報い

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報い

打ちのめされた形で自分の部屋に戻って来た響子は、魂が抜けた様に座り込む。 「お金…振り込まなきゃ、とりあえず、裁判は回避出来たし…邦之、邦之は?」 乱暴にハンドバッグを開けて手掴みした物を出して行き、スマホをやっと手にし、震える両手で包む様に持ち画面を操作する。 ここまで山下に連絡をしていなく、来るかもしれないと待っていたが山下からの連絡もなかった。 だから響子は明日香に言われるまで、山下は何も知らないと安心していて、明日香との話し合いが終わったら連絡するつもりでいた。 仕事も忙しいだろうから綺麗に片付いたら連絡しようと…なのに知っていると聞き、それならどうして山下から連絡がないんだろうと、震える指でスマホ操作していた。 コール音が鳴り続ける。 (出て…お願い!) 当たり前の様に大事にされて、ずっと傍にいると思っていた人が急に居なくなる恐怖の中で、ただ目を閉じてコール音を聞いていた。 『もしもし。』 俯き祈る様にしていた耳に声が届くと、顔を上げて嬉しいという声を出す。 「邦之!響子、あのね、明日香に…。」 何を言われたか、その言葉が出ないのは電話の向こうでため息がしたからだった。 『話し合い、今日だったんでしょ?終わった?』 「知ってたんだ…うん、終わった。」 『大丈夫?』 その短い言葉に響子は明るい笑顔を出す。 「う、うん!うん、大丈夫。色々、言われちゃったけど…仕方ないし…疲れたけど…だけど邦之が…『うん、俺が響子と大沢さんの写真を撮ったよ。頼まれてじゃないから、俺が撮りますって言った。悪いと思ってないよ?変だなって思う事あって、撮影でいない間、どうしてるんだろうって響子のSNSを見た。彼氏とデートとか食事とか、俺って彼氏じゃないのかなって自信がなくなって。』 「ちがっ!違うから!!あれは違うの!ただ…ただ、寂しい時に誰かと食事したくてそれだけで!彼氏って上げた方が映えるっていうか…だから!明日香が何を言ったか知らないけど信じないで?私を信じてよ!」 泣き出しそうな声で縋り付く様に響子は言うが、向こうでまたため息が聴こえた。
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