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プロローグ
結婚6年目の何処にでもいる普通の夫婦。
夫婦仲も悪くないしお互いに仕事をしながらの生活、助け合いの日々。
忙しい毎日でも笑顔の妻。
妻は人を疑うことを知らない純粋で真面目で前向きな明るい女性。
しかし少しずつ妻の様子がおかしいと思い始める。
あれほど明るい妻の笑顔が陰りだし、少しずつ笑わない事が増えて行く。
大沢直弥は家の事を妻に任せていたので、妻が家にいないと物の場所などが分からない。
夕食も作らずに帰宅しない事なんて初めてだ。
妻のメールには夕食は食べて帰る、冷凍庫におかず、レトルトご飯は棚、食べてと書いてあった。
こんなに素っ気ないメールも初めてだと、直弥は最近の妻の様子を振り返った。
直弥の妻の明日香は明るくて前向きな性格だった。
しかし最近、妙な事を言い出して驚かされる事が増えた。
今までした事もない事をしたりして行動が読めない。
聞きたいけど聞けない。
じっくりとその話をしてそれは誰とどこで……、聞きたいけど聞けない。
聞けない事情がある。
だけど聞かないと分からない。
気持ちの悪いまま過ごすか、聞いて何もかも終わりにするか、直弥には選択の時が近付いていた。
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