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 10月1日の19時30分。  俺はステージに立って発表を待っている。隣には俺と同じく最終審査に残った2人の男がいた。彼等は中々の強者だ。胸板がデカイだけのことはある。  ここは東京都江東区にある国際展示場だ。いつもは、ロックバンドのライブや車の展覧会が行われている。  俺は、この日のコンテストのために最高の作品を完成させたのだ。  勝ちたい。  勝たせてくれ!  優勝させてくれッ!  脳内で反芻(はんすう)する。  ステージ前のスタンドマイクに主催者の男性と共に助手の女性が近付く。   俺のナンバープレートは30番。隣の男は21番。左端の男は7番だ。  俺達3人は主催者の口をまじまじと見詰めることしか出来ない。  大丈夫!  俺の作品は傑作だぜッ!  世界遺産なみだあッ!  そうやって何度も脳内で言い聞かせる。  不安と期待が渾然一体となり気分の悪さと共に心地好さまで感じてきた。  スタンドマイクの前に立った主催者が口を動かす。 「優勝は、エントリーナンバー30。内藤正介」  会場から拍手が流れた。純白の眩いスポットライトが俺の網膜を刺激する。  俺は泣いた。優勝なんて初めてだ。小学生から今に至るまで、何かで表彰されるようなことは1度としてなかった。
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