おばあちゃんの家

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夏休みがくるとほっとする。 学校に行かなくていいから。 僕は田舎のおばあちゃんの家に1人で遊びに来ていた。いや、遊びに来ていた訳ではない。親の都合で来させられているんだ。 僕の親は共働きだから、僕を家にひとりにしておくのが心配なんだろう。 小学3年にもなれば、もうそんな大人の都合はわかっている。でもわからないフリをしるんだ。 そっちの方が楽だから。 おばあちゃんの家はおばあちゃんしか住んでいない。おじいちゃんは僕が生まれる前に死んじゃっていないからだ。 毎年来ていたおばあちゃんの家。 でも遊びに来るのは今年で最後だ。おばあちゃんの家は『都市開発』でマンションになる事が決まり、今年の冬には僕達と住む事になっているから。 おばあちゃんの家はとても古い。でも凄く居心地がいい。僕の事を探るようにあれこれ聞く人もいないし、宿題さえしていればゲームだってYouTubeだって好きな事をし放題だ。 それに僕はおばあちゃんの家の匂いが大好きだった。
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