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天使
「じゃ・・・・・・邪魔しますよ。ぼく、僕は彼の守護霊なんだから、と、と、同然でしょッ!」
高校生位の姿をした若い守護霊が大声で楯突く。その声は震えていた。
相手は3メートルに届くかと思うほどの背丈で強面の死神。彼が逆らって勝てる相手には見えなかった。
「そいつは俺が連れて行く、どけ」
「退きません! か、彼の寿命はまだのはずです。貴方の出番はずっと先・・・・・・」
「死亡リストに入ったんだ」
守護霊の言葉を遮って死神が言い放つ。
「そんなこと聞いてません、嘘だ!」
死神はため息をついて首を振る。
「死神もルールは守る、嘘はつかない」
そう言って守護霊にノートを差し出す。
「見てみろよ」
守護霊は慌てて手に取ってページをめくった。
「そんな馬鹿な・・・・・・何で・・・・・・」
「あっただろう?」
2人が話をしている間も健祐は興奮気味に上空と地面とを交互に見ていた。
「ま、誰からでもいいんだが丁度近くにいたからな」
「待って! 待って! 天使様に確認してから」
「うるさいんだよ!」
死神に一喝されてびくっと守護霊が硬直する。声だけでビビり固まった守護霊を見て死神が鼻で笑った。
「困りますね、私の部下に何のクレームですか?」
「天使様!」
神々しく輝く天使が2人の間に姿を現して、守護霊はさっと彼の後ろに身を隠した。見知った顔に死神が舌打ちしながら目を細める。
「これはこれは、天使様」
死神が恭しく頭を垂れている。そう見えるが、しかし、腰を折っても顔だけは上げて天使を見据えていた。
敬意などない。頭を下げることに悔しさもない。ただのポーズ。
「彼とは私が話をします。貴方は守るべき者の側にいてあげてください」
「はい!」
強い味方を得た守護霊が明るい返事をして健祐の側に向かった。
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