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「ハナ~~。いろんな人がいるもんだねー」  彰人は怖さを紛らわすために、ハナをぎゅっと抱きしめてエレベータを待つのももどかしく、階段で2階まで駆け下りた。  トラはそのあとを追い、1人と1匹が自分の部屋に帰るのを見届けてから身を翻して走り去った。  トラの中に熱い心と一抹の切なさがせめぎ合っていた。 『ハナ、惚れ直したぜ。あんなに美しいハンティングは見たこともない』  そう呟きながら――。  部屋へ戻ると、理子がちょうど洗濯物をベランダに干しているところだった。朝の涼やかな陽光を浴びながら、振り返って「おはよう」と言う。そのあまりにも平和で日常の世界に、ようやく彰人は現世に戻ってきたような気がした。  彰人がいつになくまじまじと自分を見るので、理子は思わず頬を染めるのだった。  
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