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第三章第二節『ミノリのプレゼント モモネのハート』
《第一節
ミノリ「これ、オレからの誕プレ…
受け取ってくれねえか?」
おしゃれなお菓子の紙袋に
"モモネ誕生日おめでとう"の文字が
書かれているのを見たモモネは…
モモネ「これ、何が入ってるの?」
ミノリ「えっ?どうして?
怪しいものは入ってないよ。」
モモネ「秘密だよね!」
ミノリ「うん。」
そう言って紙袋を持って
それに目を通したモモネは
モモネ「あれっ…?あぁ…」
なにか不満気とも思える
表情になっていってから…
モモネ「も…もちろんいいよ。
あ〜…あり…がとっ…
ありがとね♡」
ミノリ「…じゃあな。」
モモネ「じゃあね。」
そのときオレはモモネが
何に違和感をもったのかわからなかった。
ミノリ「モモネ…
なんであんなに
戸惑ってたんだろう?」
ただ、何かに困っていそうだ
とは感じていた。
誕プレをあげた翌日の月曜日。
朝に教室に向かおうと
廊下を歩いていたら…
ホノカ「あっ…ミノリ。」
ミノリ「キミってもしかして
モモネとよく話してる
ホ…ホノカ?」
ホノカ「うん。中学校が一緒でね、
それからずっと仲良しなんだぁ…」
ミノリ「何かあったの?」
そう言ってオレが
廊下の壁側で立ち止まると…
不気味な笑みを浮かばせながら
ホノカ『昨日モモネに
ボロボロのクッキーを
プレゼントしたんだってねぇ…』
ホノカのその言葉を聞いて
オレはさみしくなって
ミノリ「ぇっ…ボロボロ…」
ホノカ「なんて?
モモネがもってたから
何なのか聞いてさ…」
ミノリ「なんでボロボロなんて
モモネじゃなくて
ホノカがわかったの?」
そう話すとホノカは
オレのミスを指摘してきた。
ホノカ「袋にあった窓部分から
見えちゃったんだ。」
「びっくりするくらい
ボロボロだったから驚いたよ。
なんてものモモネにあげてんの?」
ミノリ「オレ…クッキーつくるの…
頑張ったんだけど…。」
そうオレが答えると
ホノカはオレに対して
猛烈に批判してきた。
ホノカ「あ…あれが…
がんばってつくった?」
ミノリ「ああ…」
ホノカ「ふっ…
そんな冗談通じないからね。」
ミノリ「冗談…じゃねぇし…
ホントに頑張って…」
そう言ってもホノカは
口を止めなかった。
ホノカ「今モモネが食べてるとすれば
どんな気持ちだろうね…」
「あんなやつ
…好きだからってだけで…
渡さないでくれる?」
ミノリ「頑張って作ったのに…」
俺が一生懸命作ったクッキーが、
そんなふうに言われるなんて…。
モモネに喜んでもらいたかった
それだけなのに…。
そう思いながらも
泣き虫の性格がぬけていないオレは
何も言えなくなって黙りこんだ。
ホノカ「それに添えて
文字がガタガタの
手紙なんてものまで…」
ミノリ「…。」
ホノカ「あんなのラブレター…
なんて名前で言えないよ。」
ミノリ「ラブレターって…」
ホノカ「言ってないとしても
ラブレターなんでしょっ。」
ミノリ「…そうだけど…」
ホノカ「ボロボロクッキーと
ガタガタレターを
渡してワタシの友達に
何をする気なの?」
ミノリ「オレは…」
そこに偶然
モモネが通りかかって…
モモネ「ホノカ?
何話してるの?」
するとホノカの態度は豹変した。
声を詰まらせながら明るい声で…
ホノカ「モ…!!モモネ…
ミノリからもらったでしょ
昨日に…そのぉ…」
ホノカ「ミノリ手づくりの
ボロいクッキーと…
ガタってなってる手紙…」
ホノカ「あんなのつくんなよっ
人に渡すなよって…」
自分の愛する人に綺麗でないものを
贈り物として出すなと思っていそうだ。
オレはそういうホノカの想いに気づいた。
しかし、
ホノカの言葉に困惑し
何のことだろうと感じたモモネは
モモネ「ボロいクッキー…?
ガタってなってる…?」
「もしかしてミノリが
頑張って作ってくれた
クッキーとレターのこと?」
ホノカ「うん…頭どうかしてるよね…」
するとモモネはこう話を切り出した。
モモネ「ミノリが頑張って
作ってくれたってことが、
私には何よりも嬉しいの。」
モモネ「クッキーも手紙も、
私にとっては特別な宝物だよ。」
ホノカ「えっ...そうなの?どうして?
プレゼントもらうこと
沢山あったでしょ?
なのにあんなので宝物?」
モモネ「そんなの言うホノカは
ワタシの、誕生日プレゼントに…」
「…ガタッボロッてなってないの
作ってくれてるんだよね?」
それを聞いて驚いたホノカは
ホノカ「エッ!?アッ!?…誕生日!?
だからだったの!?
好きってだけ…じゃなくて!?」
ホノカ「つ…つっ…作ってない…
ごめん…たっ…たた…
誕生日なのに…ごめん…」
「ミノリがモモネの誕生日を
知ってるとは思わなかったし…」
「ミノリのガタガタボロボロに
なにもいえなかったりして
モモネに嫌な気持ちとか無理とか
してほしくなくって…」
モモネ「そうだったの?ありがとね。」
そう言って立ち去って行ったホノカを
オレがゆっくりと目で追っていたら
モモネが近くに来て励ましてくれた。
モモネ「でも…
ボロボロもガタガタも
ワタシのこと思って
頑張って作ってくれた証でしょ?
ミノリ、ありがとね。」
ミノリ「モモネ…♡」
モモネが俺の気持ちを
こんなに大切にしてくれるなんて…。
もっと自信を持って、
彼女にちゃんと想いを伝えたいって、
オレはその日改めて思った。
第三章完結____
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