第四章第一節『幼馴染みと恋 想いの距離』

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第四章第一節『幼馴染みと恋 想いの距離』

 春の暖かさがおさまり  じめじめとしてきた頃…  いつも通り学校に向かったが  その日の学校までの道に  モモネの姿がなかった。  いないのかと少しさみしく思ったあと  周りを見渡すとスズメの後ろ姿が見えた。  久しぶりに話しかけてみよう…  そう思い小走りして近づき話しかけた。 ミノリ「おはよ!久しぶりだな。」 スズメ「おはようミノリ。     こうやって話すのは     久しぶりだね。」 ミノリ「高校生になってすぐだけど     最近困ってることねえか?」 スズメ「…そういえば困ってるとは     言わないかもだけど     ココ!物理のココ     教えてくれないかな?」  スズメは高校物理の教科書に書いてある  大学応用物理の力学で習うような  発展的な内容を教えてと頼んできた。 ミノリ「ここって…まだやってないだろ?     やらないかもしれないし。」 スズメ「まだだけど     新しい教科書だから     少し読んでたら     なんだか気になって…」 スズメ「小学生のころから     成績トップのミノリなら     知ってるかもって     思ってたんだけど…」  そんなスズメの言葉にオレはまた  卒業式のときみたいに浮かれて ミノリ「スズメ…     そんなの言われたらぁ…」    「それより…すげえじゃん!!     スズメ勉強熱心だな!     知ってるから教えられるよ。」    「ココは運動量保存則を     使うんだけど…」 スズメ「ウンド…運動量って?     中学校で習ってないよね?     これから習うんだよね?」 ミノリ「運動量は高校で習うかもしれない。     これは大学で習うことだ。」   運動量...   軽く説明するとすれば   物体の動きの勢い。 ミノリ「そんなものに     興味持てるなんて凄いな!」 スズメ「へぇっ…そうかなぁ?」  学校に近づき教室の違うふたりは… ミノリ「また時間あったら     話そうな!」 スズメ「またね!」  頑張り屋なスズメをオレは  最初の友達である幼馴染  としか思っていなかった。  しかしミノリの知らないところで  スズメはミノリを気にし続けていた。  ワタシがいなくても過ごしていけてるし  弱虫なんて思うことがないほどに  積極的で仲間想いに成長したミノリ。 スズメ「ミノリ、かっこいい。」  影ながら見守っていた。  そんなところを昼休みにオレは目撃した。 ユウハ「あっ!あれって…スズメ?」 ユウハ「スズメ!」 スズメ「ユウハ!」 ユウハ「かっこいいって誰のこと?」 スズメ「ミノリ。」 スズメ『他の人も     ミノリが好きなの知ってるけど…     アタシ、ミノリのこと大好き。     告白したいんだけど…』 ユウハ「えっ、告白?     ミノリに?」 スズメ「うん…」  ミノリは今…  これまでになかったくらいに  モモネに絶大な想いを  寄せていたような…  オレはミノリとモモネの恋も  ミノリのスズメへの想いも察して… ユウハ「そうなんだ…     それちょっとでも伝えた?」 スズメ「かっこよすぎて踏み出せなくて     最近は眺めるだけしかできなくて     伝えれてない。」 ユウハ「思ってるだけじゃダメだよ!     言わねえと伝わらないよ。」 スズメ「そうだよね。     言わなきゃ後悔するよね…。     頑張ってみるよ!」  そして放課後…  スズメが想いを寄せているなんて  知りもしないままのオレは  いつも通り部活を頑張っていた。  部活終わりオレは汗をかいていた。  体育館から出ると雨が降っていたが、  傘を持っていなかった。 ミノリ「雨か…汗かいてるし     濡れてもいいか。     ダッシュで帰ろっ」  靴を履き走り始めると後ろから声が。 スズメ「ねぇ…」  振り向くと傘を持っているスズメがいた。 ミノリ「スズメ…?どうした?」 スズメ「ミノリ…♡     その…♡」 ミノリ「ていうか、朝傘持ってた?」 スズメ「ううんっ…     置き傘してたの。」 スズメ『傘忘れたんでしょ。     アタシ傘持ってるし、     一緒に帰んない?』 ミノリ「スズメ…     卓球部でもないのにここに?     ありがと、いいの?」 スズメ「うん…。」  スズメが傘を開いて右側に…  オレはその傘の左側に入らせてもらった。 ミノリ「背が高いしオレが持つよ。」 スズメ「ありがとう♡」  家に近づいてきてから  オレはスズメに礼を言った。 ミノリ「傘貸してくれてありがとう!     後は一人で行くよ。」 スズメ「ねぇ、ちょっと待って。」 ミノリ「どうしたんだ?」 スズメ「もう少し一緒にいたい…」 ミノリ「え?雨降ってるだろ…」  夜に近づくにつれて冷えてく外の温度…  時間が経つたび赤くなってくスズメの頬… スズメ「けどさぁ…」 ミノリ「気温も低めだし     オレ汗かいてるし     風邪引きたくねえし…」 スズメ「わっ…わかったけどさ♡」  そう言うと急に傘を持っていた  オレの右手を両手で握ってきて思わず… ミノリ「どうしたんだ!?」  何をするのかと思ったら… スズメ「握らせてよ…ミノリの手…」 ミノリ「えっ…♡     まぁ…いいけどさあ…」  これまでスズメがしてこなかったことを  オレにしようとし始めようとしている…  そう気づいた。 スズメ「ミノリ、スズメさ、     ミノリのこと好きなんだけど     付き合ってって…」 ミノリ「えっ…」   スズメが俺に…?   いや、今までそんなこと   考えたことなかった。   スズメもモモネも大切な友達。   でもスズメについてはずっと幼馴染で、   恋人としては関わってこなかった。   どう答えればいいんだろう…  それを考えて何も言えずに黙っていたら…  オレの手を握っていた手を  ウズウズと動かし離してから  照れ隠しなのかわからないが… スズメ「そんなの言っても     ミノリは成績トップだし…     アタシよりもカワイイひとに…」    「想いを寄せているよね…     寄せられてるのかな?     アタシなんて…」 ミノリ「いやっ…」 スズメ「やっぱいいや。     じゃっ、またね!」 ミノリ「えっ…!?」  オレにそんな言葉を残して  スズメは家へと帰っていってしまった。  オレは戸惑いながら家へと帰って行った。   どうしてアタシ   幼馴染に対してこんなに頑張っても   言いたいの素直に打ち明けられないの?   どうしてオレ幼馴染の質問に   こんなに頭使っても   答えが口から出てこないんだろう?                 第二節》
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