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第四章第二節『ふたり相合い傘 モモネの本性』
《第一節
翌日の朝の校舎までの通り道…
ミノリ「モモネ、
今日も見かけなかったな…」
薄曇りの空のもと独りでいたオレは
またホノカに出逢った。
ホノカ『ミノリ、見てたよ…
モモネに内緒でスズメと
あいあいがさなんて…』
ミノリ「…あいあい…がさ?」
ホノカ「昨日雨の中で帰り道かな…
やってたじゃん。」
ミノリ「あ…あれは…」
ホノカ「モモネに言ったら
どれだけ落ち込むか…」
ミノリ「あれはラブラブだから
なんかじゃなくて…
ただ傘忘れたから
入らせてもらってただけで…」
オレもホノカも校舎の中に入ったとき
話を止めようかとを思ったが
そのとき周りにいるのが二人だけだった。
モモネがあんなに注目されてる中で、
私はいつも影に隠れている…。
ミノリがモモネに夢中に
なっているのを見てられない。
だからってこんなことをするのは…
苦しい気持ちをもちながらもホノカは
オレにさらに話しかけてきた。
ホノカ「傘借りるくらいの関係?
ミノリにとっては
スズメはなんなの?」
ミノリ「初めての友達…幼馴染…。」
ホノカ「ふ〜ん、そうだったんだぁ。
ていうかさ…ミノリ、
モモネに告んないの?」
ミノリ「は…恥ずかしくて…」
返答を聞いたホノカは立ち止まり
あざ笑うような口調で…
ホノカ「じゃっ、ホノカが
付き合ってあげよっか?」
ミノリ「お…オレは…オレは…モっ…」
そうオレが言葉に迷っていると
あざ笑うような口調は増々強まり…
ホノカ「そんなことを
ホノカがすると思った?
ミノリなんて…キライ」
すると一変、冷めた口調で…
ホノカ「…付き合うなんて
ありえない。」
ホノカ『それに…ミノリなんかを…
モモネが恋愛対象に
してるわけないよ。』
ミノリ「じゃあなんで…」
するとウソかホントかわからない
モモネの裏の顔についての話をし始めた。
ホノカ『モモネはスカセレで
選ばれた人だからさ…
みんなの前ではあの姿でいないと
いけないのよ…たぶんね。』
ミノリ「…そんなこと…ないだろ…
けどモモネはモデル…」
そう言ってオレは思い出した。
プレゼントを渡したとき…
モモネ「も…もちろんいいよ。
あ〜…あり…がとっ…」
ミノリ「少し嫌そうだった?」
「初日も聞き流すか頷くか
無口かって感じだったし。
オレにホントは興味ない!?」
「プレゼント渡したときも
不満気そうだったかも。でも…」
そう考えてホノカの言うことが
ホントかもと感じてきた。
モモネはオレを
ただの遊び相手としか見ていないのか?
しかし…
それでもウソだと思いたいオレは…
そうなんだったら
あの時のモモネの笑顔は嘘だったのか…
モモネ「ワタシのこと思って
頑張って作ってくれた証でしょ?
ミノリ、ありがとね。」
ミノリ「そんなことないよ…
国民的美少女
だからってことは…」
そう言うと勢いを変えず
ホノカが言い返してきた。
ホノカ「ホントにそうなのかなぁ?
だとしても偽りの愛かもよ?」
ミノリ「わからないけど…」
ホノカ「でしょ…」
困惑しまくり涙目になったオレを見て
ホノカはとどめを刺した。
ホノカ「どっちにしろ、
ミノリみたいな弱虫に
国民的美少女であるモモネは
釣り合い取れてねえから!」
「あとはミノリの好きにすれば!
じゃあね…」
ホノカの話を聞いて心のなかで
オレを弄んでたのか?
モモネはオレのことを…
オレ…モモネのこと
困らせてしまってたのかな…
そうだとしてもオレがモモネが好きだ
という気持ちは変わらない。
入学式でモモネと話したとき、
彼女の優しさに心が温まったんだ…
でも、あれは本当の気持ちから出た言葉
じゃなかったっていうのか?
そう思いオレは
これまでのモモネとの会話を
いちから振り返った。
すると
とある会話が頭の中で引っかかった。
モモネ「う〜んっ?
何を想像してたの?」
ミノリ「あっ…♡
いやっ…何でもない。」
想いを伝えれたかもしれない
タイミングを振り返って…
オレがあのとき…
正直な気持ちを伝えてれば…
このままじゃオレも
スズメと同じ想いになっちゃうかも…
さらにホノカやスズメとのことを
思い出して他の方法を見つけてしまい、
ミノリ「それとも…こんなオレ…
恋愛対象にされてないって
打ち切ったほうが楽かな?」
"モモネとの恋を諦める"
という選択肢が現れてしまった。
でも、このまま諦めたくない。
でも、モモネが俺をどう思っているか、
ホントのことを確かめないといけない…
教室に入ってすぐに
モモネに本音を聞こうとしたが
その日モモネは欠席で教室にいなかった。
その日は一日中
頭の中に授業での先生の言葉が
一つも入ることなく…
モモネはホントにオレ嫌いなのか?
ならなんであんな言葉言ってくれた?
国民的美少女がこんな弱虫なオレに?
モモネとの恋をどうするかで
頭の中がいっぱいになった。
家へ帰ろうとしたとき
昨日と同じく雨が降り始めていた。
ミノリ「昨日傘忘れたのに
今日も忘れるなんて
オレってついてないなぁ…」
「誰かに傘借りたら
また何か言われそうだな…
モモネもオレを弄んでるんなら…」
涙を雨で誤魔化しながら
雨が降っていることなんて
どうでもいいという気持ちで…
恋愛対象としていた国民的美少女が
欠席の日の放課後の帰り道、
傘を2日続けて忘れたオレは
雨に打たれながら学校から家へ帰った。
第四章完結____
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