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第五章第一節『フタリの恋の 梅雨前線』
雨が降っている中を
傘を持っていないオレは
急ぐ気力もなく歩いて家へ向かった…
モモネが愛してくれていると信じようと
気持ちを切り替えたりもしてみたが…
ミノリ『オレって…
ホノカの言う通り
モモネに弄ばれてた
だけだったなのかな…』
モモネは国民的美少女…
スズメとかホノカとか
のほうが楽なのかな…
でも…モモネと…
そう考えた瞬間に足が止まった。
あれ?なんでオレって…
手紙にもかけなかったのに…
雨に打たれて濡れるリュック…
ミノリ「教科書濡れるの嫌だなぁ…」
雨に打たれて垂れ下がる前髪…
再び心が雨模様になってしまい…
涙と雨、
それだけでは
隠れきらない孤独感。
ミノリ「どぉなんだろぉ…
モモネにとってオレって…」
「誰にもわからないし、
俺自身ももう信じられない…。」
「もう…そんなの
どうでもいいっ…」
どうしようもないくらいつらくて
重たい表情にしかなれないまま
オレは家の扉を開けた。
ミノリ「ただいまっ…
はぁ〜…」
オレに恋人ができたとか言ったら
また中学生の頃みたいに
どんな人なのとか言って
お節介されるだろうし…
それで困ってるとか言ったら
戸惑うだろうし…
エミ 「おかえりなさい
どうしたの…ミノリ…」
ミノリ「なんでもない…」
エミ 「なんでもない
わけないでしょ…
涙なんか流して…」
ミノリ「だって…じゃなくて…
雨だよっ傘忘れただけ!」
モモネに恋愛対象として
見てくれていないかもしれない
オレがモモネを愛している理由が
言葉にできていない
エミ「いつもそんな声じゃないでしょ…
どうしたの?教えて!」
という現実に寂しさを感じ、
その反動でつい…
ミノリ『何でもねぇって!!』
親に怒鳴ってしまった。
エミ 「そう…」
外でシトシトと雨が降り続く中…
重い足で家の階段を昇って…
ジメーっとした湿気の中で
自分の部屋のドアを開けて…
手にドアを閉める気力すらなく
そのまま床に座り込んだ。
あぁ…あれが…ふり…なんて…
部屋の窓の外で
雨が降り続けている中…
スマホをみると
((モモネ.ミノリ、大切に保管していた
ミノリのクッキー食べたよ。
美味しかったよ、ありがと。
手紙もありがとね‼))
モモネがこんな俺を
大切に思ってくれているんだ…♡
でも、本当にそうなのか?
ホノカの言葉が頭から離れない。
ふーっ…
これも…ふり…なのかな…
ふりなんだろうな…
大切に保管?忘れてただけだろ?
…思ってないのに気持ちだけが…
ミノリが気持ちを抑えきれなくて
自分の部屋で独り混乱しているなか、
家の一階では父さんと母さんが…
こんな風に自分を閉じ込めるなんて…
エミ 「ミノリ…
どうしたのかしら…
何か私がミノリにできることっ…」
確かにいつもと違うけどな。
今は見守ることしかできない、
それが彼のためだと思う。
ツムギ「そのままにしておけば
いいんじゃないかな…」
エミ 「そうかな…」
ツムギ「ミノリの成長のため
大変そうだけどミノリ自身が
どうにかできると信じようよ。」
エミ 「そうね。」
第二節》
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