第五章第二節『振り続く雨 言葉の力』

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第五章第二節『振り続く雨 言葉の力』

《第一節  まだ帰宅直後で5時だったが  疲れて眠くなってきたため  オレはベッドに寝転んだ。  すると突然  モモネのお母さんのタマネから  電話がかかってきて… ミノリ「くだはらみのりですっ…     どーしたんですかっ…」 タマネ「モモネの母タマネです。」 ミノリ「どうしたんですかっ!?」 タマネ「モモネの持病が悪化して     緊急入院が決まったの…」 ミノリ「えっ…!!     じゃあ二日間の欠席って     緊急入院だったの!?」  動揺し続けるオレに  モモネが打ち明けたオレへの愛  について話してくれた。 タマネ「モモネが     緊急入院     決まったときに…」    これが人生最後なら   ミノリと最期(さいご)を過ごしたいっ… タマネ「って言っていたんですけど     天原(あまはら)総合病院に     今すぐ来てくれますか?」   もっと早く気づいていれば…   だとしても…   今はそばにいてあげることが大事だ。   モモネ、待っててくれ… ミノリ「えっ最期…     わかりました、     すぐいきます。」    中にあった教科書たちが    びしょ濡れになったリュックは    家に放っておいたままにして ミノリ「…行ってきます!」 エミ 「えっ?どこへ?」  突然強まってきた雨の中…  オレは自転車を必死にこいだ。    傘は持てない…    カッパも持っていない…    そんな状況で    モモネがホントに愛しているのか    なんてことを考えずに    オレを愛してくれていると信じて ミノリ「オレは中学まで恋愛をせず     うまく誰かを支える言葉を与えれず     ここまできてしまったんだ。」    「モモネという愛する人のために     何かができるときがやってきた。」    「モモネの笑顔を守る、     それが俺の役目なんだ。」  そして、病院の待合室まで  急いでやってきた。 タマネ「あなたがミノリ君?」 ミノリ「はいっ」 タマネ「モモネ、来てくれたわよ。」 モモネ『ミノリ…     ごめんね…     ずっと隠していて…』 モモネ『私昔から持ってる病気があって…     アナタとかよりも     長く生きれないの。』  病気の作用に耐え  苦しそうにも辛そうにもして  落ち込んでいるモモネを見て…  オレが辛い顔していちゃダメだと  愛してくれているモモネを想って ミノリ『モモネ…     でもその分みんなよりも     時間を大切にしようと     思えるってことだろ。』 モモネ「ミノリ…     そうだよね…」      モモネ「なんだかまだまだ     生きれる気がして来た     ミノリ…ありがと♡」  自分の短い言葉で微笑んでくれたことに  これまでに感じたことのないほどの  喜びと(うれ)しさを感じ… ミノリ「モモネ…♡」  モモネはミノリの言葉の力で  緊急入院を早く済ますことができた。  さらに、 ミノリ「モモネ、ごめん。」 モモネ「ん?何が?」 ミノリ「ボロボロのクッキーと     ガタガタのレター     渡しちゃった…」      ミノリ「こんなオレと最期を     過ごしたいって言ったの     どうして…」  モモネはミノリが  さみしそうにしているのを見て モモネ「そんな顔しないで。     ミノリと一緒にいることで、     どれだけ救われてきたか…     言葉では言い表せない。」    「あなたがいた     あなたがいるから、     私も強くなれる。」    「だから、最期を一緒に…     って言ったんだ。」 ミノリ「救われたってどんなことで?」 モモネ「黒板掃除してくれたでしょ…     ワタシの代わりにしてくれたの     ホントに嬉しかったんだ。」 ミノリ「えっ…あんなことで…     っでもないかぁ…」 モモネ「モデル活動ばっかしてた     中学生の頃いろいろあったの…」    「男子達には好きだ好きだって     持ち寄られてばかりでね…     女子達には掃除とかサボるなって     きつくせめられてばかりだった。」    「だから好きだ好きだって     言い詰めてこないし     周りのこと気にしきれていない…」    「ワタシを愛してくれる     ミノリの存在が     嬉しかったの♡」 ミノリ「そう思ってくれてたなら     オレも嬉しいよ♡」 モモネ「電車でぶつかったときも     クッキーと手紙もらったときも…     少しは正直あれってなった。」    「ミノリの笑顔を見て     心が高鳴っていることを感じたり     ミノリが頑張って作ってくれた     って思ったりしてると…」         「ぶつかってくることとか     ガタガタボロボロとかなんて     全然…気にならなかった。」    「優しく支えてくれて     ホントにありがと♡」 ミノリ「モモネ♡…ありがとう!!」   愛って何なんだろう?   モモネとのこれまでが   教えてくれたのは、   相手を思いやる気持ちがすべてだ   ということ。   たとえ言葉にできなくても、   お互いの気持ちが通じ合えば、   それがホントの愛なんだ。  オレもモモネの言葉の力で  笑顔を取り戻すことができた。  この経験を通じて  フタリはココロの距離を  縮めることができた。 第五章完結____
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