第二章第一節『モテてるオレ 電車ゆれ夢』

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第二章第一節『モテてるオレ 電車ゆれ夢』

 入学式から一夜明けた翌朝、  オレは昨日と同じ時間の同じ電車に乗った。  百野花高校の最寄りの駅から5つ離れた駅。  通学ラッシュかつ通勤ラッシュで混み合う車内。  座れる席などあるはずもなかった。 ミノリ「席空いてないなぁ、     まあいいや。」  つり革を握って到着を待っていると  途中の駅で電車が止まり扉が開いた。 ミノリ「あっ!」  オレが乗車したときの扉から  乗車してきたのは昨日隣の席に座って  微笑みを絶やさず返してくれたモモネ。  今日もオレに微笑み返したモモネは  学校の外だというのに驚くほど自然体だった。  国民的美少女とは思えないくらい  周囲の視線などを気にしていない。  モモネはふわりと微笑みながら  ミノリを見つけさりげなく  隣のつり革を握った。   昨日は乗ってなかった気がする…   けどそれは偶然そうだっただけかもしれない。   国民的美少女がオレ以外の視線を気にせず   街なかで過ごしてるっ…   まるでドラマで出てくるカップルだ。  するとモモネは  満面の笑みを輝かせて  オレに話しかけてきた。 モモネ「おはよう、ミノリ!!」 ミノリ「あっ!モモネ…♡     おはよう…♡」  まだ出会ってから二日しかたっていない。  なのに国民的美少女のモモネに  ミノリっ!!って日常的な感じで  モモネの朝日のように  眩しく感じられるほどの  笑顔で話しかけられて驚いた。   それが声にでてしまった。 ミノリ「あれっ…     でもなんで?     それに昨日はコレには…」 モモネ「なんでって…なにが?     昨日話しかけてくれたでしょ?     今日も学校頑張ろ!」  その言葉にオレは心が浮き立つのを感じた。  国民的美少女のカレシみたいに  一日でオレが話しかけていいなんて…  カレシみたいになるために  どうしようとか考えてたのに…   やっぱオレって   モテモテな人…女がついてくる人…   なんだなぁ!!  昨日話しかけてくれた  単なるひとりの同級生として話しかけた  とも考える余地があったが  想いが先回りしてしまった。 ミノリ「いやっ…そうだよな!     なんでもないよ。」   これはアリなのかナシなのか…  さらに  電車がゆれるたびに  オレとモモネがぶつかって… ミノリ「はっ…♡」   ぶつかっている状態のまま   一緒にいれたらいいなぁ…   そんなことも感じていた。    これが恋愛相手への行為として    アリなのかナシなのか…   そんなにぶつかって   密着するまでしていいのか?   いや彼女だからこそ近づけるんだ…   勝手に彼女だからとまで思っていたが   そんなこと一切確認はできていない。   距離感わからぬ異性を想い過ぎる   今の自分の未熟なところと   それによる欲がもろに出てしまった。 モモネ「あっ!     ぶつかっちゃった…」 ミノリ「だっ…大丈夫。     …気にしなくていいよ」   その後も電車が何回かゆれるたびに   現実とかけ離れた妄想が   オレの頭の中に思い起こされた。   オレの体がモモネに触れる現実…   オレがその勢いで"手を繋ぐ"妄想… モモネ「ミ…ミノリ…     もう少しで駅着くよ!!」  そう現実でモモネが言って  オレは妄想から目が覚め… ミノリ「あっ…あれっ…?」 モモネ「んっ?どうしたの?」  モモネの手を繋いでいない現実…  モモネの体から離れるオレの体… ミノリ「な…なんでもないよ…     はぁ〜…駅まだだよね…」 モモネ「気持ちよさそうで     そのままでも良かったんだけど     寝そうになってたから…」 ミノリ「ごめん。     オレ…寝不足なのかな?」   電車がゆれて   オレの体にモモネがぶつかる現実…   オレがその勢いで"抱きつく"妄想… モモネ「ミ…ミノリ…」  そして再び妄想から目が覚めた… ミノリ「はっ!」  モモネの体に抱きついていない現実… モモネ「ミノリ…     もう駅着いてるよ。」 ミノリ「えっ!?もう?」 モモネ「もう扉開いてるよ…     この駅が終点で良かったね。」 ミノリ「あっ…うん。     終点だったっけ?良かった…」   これが恋愛相手にさせる行為として   アリなのかナシなのか…    オレは…    ただモモネに惹かれているだけ?    それとも    本気で好きになり始めている?    まだ彼女のことを何も知らないのに…    こんなに想像が先走ってしまって、    本当にそれでいいのか?  気遣いし続けてくれていることから  いろいろな心配をしながらも  少し安心しながら電車を降りた。  それからオレは駅を出て  モモネと一緒に学校へ向かった。                 第二節》
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