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結局、私たちはお互いコーヒーだけを注文した。
どうやら彼はもうすっかりアーリオ・オーリオを食する気持ちになっていたようで、今さら他のパスタじゃ満足できないらしかった。
彼は少しの間落ち込んでいたが、すぐに「まあいいや。家に帰ればアーリオ・オーリオがあるから」と気を取り直していた。どんだけ好きなんだ。
私としては本当に助かった。窮地を脱したと言っても過言ではない。結局アーリオ・オーリオがどんな料理なのかは判明しなかったが、それは帰ってからスマホで調べればいいし。
「よし、本題に戻ろう」
真っ白なコーヒーカップをソーサラーに置いて、折谷くんは私を見た。
そうだ。すっかりアーリオ・オーリオに気を取られていたが、私はこれから彼に告白されるかもしれないのだ。
そう考えると、急に胸がきゅっと締まった。
「えっと、話があるんだよね」
「うん。大事な話」
目が合った。彼の視線には温度があるんだろうか。
その瞳に見つめられた私の体温はどんどん上がっていく。熱い。
「はじめて出会ったとき、入学式で君を一目見たときから僕は感じてたよ。これは陳腐な表現かもしれないけど、運命だと思ったんだ」
「うん」
ふっと小さく彼は笑う。
なんて素敵な微笑みだろう、と私は見入ってしまった。
「それからも君を見かけるたびにその想いは膨らんでいった。……そしてついに溢れ出してしまったんだ。だから今日こうして君のことを呼び出した。もう見てるだけじゃ満足できなくなったから。僕は君のことを、――君を」
「うん」
彼の一言一句に熱が帯びていく。
なんて素敵な声音だろう、と私は聞き惚れてしまった。
「君を僕の惑星に連れて帰りたいと思った」
「……うん?」
彼は少し照れくさそうに頬を染める。
なんて素敵な提案だろう、と私はあれ? 今なんか惑星って言った?
「僕の生まれ育った星、アリオリ星の王女になってくれないか?」
「うんちょっと待って」
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