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「……ありがとね」
すっかり温くなったコーヒーを一口啜って、私は息を吸った。
大丈夫。ちょうど今、勢いに乗っている。
「じゃあ私、王女になるわ」
彼の目が見開く。
他の人たちも彼みたいな綺麗な瞳をしてるのかな、なんてことを思った。
「え、いいの?」
「いいよ。王女って初めてだけど、まあなんとかなるでしょ」
「でも地球を離れることになるし、他の道もあるよ?」
「まあそうだけどさ。でもモデルや小説家には誰でもなれるかもしれないけど、一惑星の王女になれることなんてそうないから」
「まあ、そう言われればそうかも……?」
私の主張の正否を判断しかねるように折谷くんは小首を傾げた。その様子が少し可愛らしくて、私は微笑む。
「それに、ご先祖様の気持ちもちょっとわかるしね」
「?」
今度は大きく首を傾ける。
それを見た私は笑みを深くして、はっきりと告げた。
「好きになったら、星ひとつくらいどうってことないよ」
自分の好きな人が自分のことを好き。
そんな奇跡を、私は愛してやまない。
「私は折谷くんの隣にいたいの」
そりゃあ地球を出てくのは不安だよ。家族や友達とも会えなくなるし、初めての一人暮らしが別の星って。
……まあでも、こんな人が王子やってるような星だもんね。
アリオリ星とやらは、優しい人で溢れてるに決まってるでしょ。
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