忙しい二人の回顧録

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セキュリティ万全な高級マンションの玄関チャイムを直に押してくる人間など一人、いや二人しかいない 「いま開けるって」 カミノは不機嫌を隠さずに玄関ドアを開けた 「お邪魔します。進んでますか?」 やってきたのは雪人とマトメだった かつては拗れまくっていた二人だったが、ライタの機転によって、いまは目も当てられないくらい仲の良いカップルである 誰も知らないが、彼らはある意味16世界の出産上昇率に貢献したカップルであり、被験者1号でアダムとイブのような存在だ 「あれ?ライタさんは?」 雪人がキョロキョロと部屋を見回した カミノは居場所を知っているが、ライタの名誉のためにも明かさない方がいいだろう しかしそんな気遣いも空しく、突然大音量のロックが鳴りひびいた 「なんなんですか?!」 「悪い」 結局一緒に暮らした2年間、カミノは毎朝この音楽を聴かされた とうの昔に、というか最初から排泄音などどうでもいいというのに カミノはトイレのドアを叩いた 「雪人たち来たぞ」 返事がない 聞こえていないのかもしれない 「おい!せめて音もう少し落とせ!」 カミノが激しくドアを叩くと、カチリと中から鍵が開く音がした カミノがドアを開けると、ライタは自慰の真っ最中だった カミノは思わずトイレに飛び込んでドアを閉めた 「お前…何してんの?」 「さっきので()っちゃったので…」 「さっきのって…」 ➖カミノは振り返ってキスをー➖ 「あれか!」 「ん…」 カミノの前でもライタは手を止めなかった 紅潮して汗ばんだ首元と手の動き、狂おしそうに歪む顔、時折り上目遣いで自分を見ておかずにしている姿はカミノを煽るには十分だった カミノは床に膝をつくと、ライタの手を止め、垂直に()ち上がったモノを口に含んだ 「カミノさ…」 「ちょっとだまって」 カミノは荒い息を繰り返すライタを眺めながら舌でカウパーを舐め上げ、自分もズボンのチャックを下ろした 「パートナー相手にフェラしながらオナニーですか…」 「最初にやってたのはお前だろ」 「俺はこっそりやってたんですけど…」 「言えよ」 「無茶言わないで…アッ」 ピュピュッとカミノの顔にライタの精液が飛んだ 「ガンシャされちった」 カミノは舌で口周りの精液を舐めとると、ぐったりとしたライタの腰に跨った 一瞬萎れたライタのモノがググッと起き上がった カミノはそれをゆっくりと自分の中に差し込んだ 「カミノさんっカミノさんっ」 「ダメだよ、ライタ、静かにしなきゃ聞こえる」 「そのための音楽ですから」 「あはっ確かに。てかそのためだったの?」 「こういう音を隠すのは今日が初めてですけど…」 「いつもはうんこだもんな」 「うんことか言わないでください!」 二人で笑いあいながらピストンを繰り返していると、トントンとトイレのドアをノックする音が聞こえた
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