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「閻魔……大王……?ヤマ、が……?」
突然のことで状況を全く飲み込めない私。
そんな私を落ち着かせる様に、ヤマはぽんぽんと優しく私の頭を撫でる。
その温もりに、少しほっとする私。
「ヤマ、閻魔様だったんだぁ……」
「ははっ、すげーだろ?偉いんだぜ?」
いつもと全く変わらず、「どうよ?似合うだろ?」と笑うヤマ。
が、『閻魔大王』という単語で私は先ほどまでの出来事を思い出す。
「ねぇ、ヤマ……?私、死んだの……?」
すると、ヤマはゆっくり首を横に振った。
「いや、『まだ』死んじゃいねー」
まだ?
まだってどういうことなんだろう?
激しく不安に揺れ惑う私の心。
(……やだ。死にたくないよ……)
と、そんな私を安心させる様に、ヤマが私を抱き寄せて来た。
「大丈夫だ。絶対に、お前を死なせたりしないから」
重ねた胸から伝わる鼓動と温もりだけが、まるで確かな物の様に思えて……私は、小さく頷いた。
(ヤマを……この幼馴染みを、信じよう)
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