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公園で、ブランコの前に連れて行かれる私。
(幾ら私でも、ブランコ位知ってるんだけどな……?)
少しだけ馬鹿にされた様な気がして、私は少年を軽く睨み付ける。
けれど、彼は溌剌とした笑顔を浮かべたまま「いいからいいから!座ってみろって!」とだけ言った。
(めんどくさいけど仕方ないな。なんか、言っても聞いてくれなさそうだし)
そんなことを考えながら、渋々ブランコに座る私。
と、彼が勢いをつけて、私の後ろに立って乗る。
瞬間、大きく揺れるブランコ。
「うわっ?!」
私は思わず声をあげる。
怖かったのではない。驚いたのだ。
だって、ブランコの2人乗りなんてしたこと無かったから。
(これが、2人乗りなんだ……)
初めての2人乗りに、少しだけ自分の心が弾んでいくのを感じる私。
少年もそれを感じたのか、ブランコを漕ぐ勢いが増していく。
どんどん遠くなる地面。
「あ……青空……」
気付くと、私の目の前いっぱいに青空が広がっていた。
(空なんて見たの、久し振りかも……)
この日の空は、目が痛くなる位ーー雲1つない、美しい青空だった。
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