19人が本棚に入れています
本棚に追加
その日から、毎日、一緒に遊ぶ様になった私と少年。
彼の名前は『ヤマ』と言って、最近この町に来たばかりらしい。
(だから、顔に見覚えがなかったんだ……)
この町は小さいから、基本的には子供達は皆、同じ幼稚園に通い、そこから同じ小学校、中学校へと進級する。
なので、見知らぬ顔がある方がとても珍しいのだ。
まぁ、ヤマのこの性格ならば、例え最近町に来たばかりであっても、いじめられること等ありはしないだろう。
(もっと早く出逢えてたら良かったのにな……)
私は、ヤマがいつも向けてくれる太陽の様な笑顔に、いつしかそんなことを感じ始めていた。
ただ1つだけ、不思議だったのはーー
「あ、ほら!見てみろよ、ヤミ!あっちに見たことねー花が咲いてるぜ!」
何故かヤマは、頑なに私の名前……雅を、『ヤミ』と逆さまに呼ぶこと。
正直、『闇』にも聞こえて気分は余り良くないのだが。
(何でか、気に入ってるみたいなんだよね。言っても直らないし……)
なので、私は初期の段階で割りときっぱり諦めた。
そうして、同じ時を重ね、楽しい思い出を重ね、私達は成長し……やがて、私は15歳になった。
最初のコメントを投稿しよう!