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ある日の放課後。
私は件のイケメン君に学校の屋上に呼び出される。
(私なんかに何の用だろう?)
正直、余り関わりたくない。
そんな気持ちで屋上のドアを開けた私。
瞬間、全身に大量の冷水が浴びせられる。
驚いて目を上げると、そこには、ホースを持ったイケメン君がいた。
よく見ると、周りの取り巻きらしき人達も手に手にバケツを持っている。
(ああ……なんだ、またいじめが始まったんだ)
なら、仕方ないな。
いじめられない今までの方が異常だったんだ。
ヤマと過ごして……積み重ねて来た日々の中で、漸く体温を持ち始めた私の心が、再度、凍りついていく音がした気がした。
けれど、イケメン君の次の一言で、私は激しい衝撃を受けることになる。
「クラスの奴に聞いたぞ!昔のあの手紙!書いたのはお前らしいな!よくも恥をかかせやがって!」
ーーああ、これは『いじめ』じゃない。
彼なりの復讐なんだ。
過去が……全力で、私に追い付いて来た。
(軽い悪戯のつもりだったのに……本当に馬鹿なことしたな)
目の前の彼等は、どうやら本気で怒っている様で。
箒やモップ、果てはカッターを持っている者までいる。
(もしかしたら……私、ここで殺されちゃうかな?)
子供の暴力は手加減なんて知らないことの方が多い。
諦めきった気持ちで、目線を上げる私。
その時の私の瞳に映った空は、あの日と同じ、雲1つない真っ青な空でーー。
(……嫌だ。私、死にたくない!)
空の青さに、私は初めて、自分の命を……生きていることを、自覚した。
(私、死にたくないんだ……)
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