果てしなく青い空を見た日

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自分の気持ちに気がついた私は、ただ走った。 生きる為に。 青空に、衝動に、突き動かされた様に。 先ほど来たばかりの入り口は使えない、イケメン君の取り巻きが来ているのが見えたからだ。 なら、どうするか。 (……確か、フェンスの近くに非常用の滑り台があった筈。あれで下まで降りよう) しかし、その非常用の滑り台は当のイケメン君の真後ろにある。 (でも、行くっきゃないよね……!) 私は覚悟を決めてイケメン君に向かって突っ込んだ。 今まで逆らうことがなかったサンドバッグが向かって来たからか、驚いて目を見開いたまま固まっているイケメン君。 私は彼の真横をすり抜けると、非常用滑り台が仕舞われている格納庫の扉に手をかけようとする。 が、その瞬間、 「逃げんなよ!!!」 強い力で私は突き飛ばされた。 バランスを崩し大きくよろめく私の身体。 (あっ……!) 踏ん張ろうにも、先ほど浴びせられた水のせいで足が滑り、上手く立つことが出来ない。 (いやだ……!こんな所で、死にたくない……!) 「私は、まだ死にたくないっ!!」 そう叫ぶとフェンスを掴もうと手を伸ばす私。 けれど、水で手が滑り、掴もうとした勢いのまま、私の身体は青空の中へと投げ出された。 「ヤミ!!!」 逆さまになった視界に映ったのは、必死に駆け寄るヤマの姿だった。 彼はそのまま、フェンスを乗り越えると、虚空へと勢いをつけて身を踊らせる。 そうして、私を抱き締めると、耳元で優しく囁いた。 「もう、独りにはさせねーから」 (……ああ……ヤマトと一緒なら、こんな最期も悪くはないのかも?) 彼のその言葉に、私は微笑みながら頷くと、ゆっくり瞳を閉じた。
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