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こうして僕達は、二人で一緒になることを選んだ。
この僕達の決意を見ていた医師は、出来る限りの協力をしてくれることを約束をし、この日の診察は終了した。
僕達はこれからも二人でいる未来を選択したけれど、それは僕達だけの話じゃない。この子はまだ高校生で未成年だ。番になる、結婚すると言ったところで二人だけで決められるものでは無い。かと言って時間をかけてゆっくりご両親に話をして許可をもらうなんて時間もなかった。
この子はいま受験を控えているし、何より僕は、再び運命の番と出会うことを恐れていた。あの時は運良く接触せずに済んだけど、次は分からない。ほんの少しフェロモンを感じただけで、ここまで僕を捉えるのだ。もし至近距離で会ってしまったら、今度は逃げられないかもしれない。
僕はこの子と一緒になることを選んだ。だからもう、この子を悲しませたりはしたくない。
病院の後、改めてお互いの気持ちを確かめあった僕たちは、そのままこの子の家に行くことにした。土曜日の今日なら、ご両親が揃っているからだ。そして僕達は二人でご両親に状況を説明し、いますぐにでも番になりたいこと申し出た。
念の為医師に書いてもらった診断書を見てもらいながら、僕達が決してふざけているわけでも、軽い気持ちで言っている訳でもないことを分かってもらう。
父親は難色を示した。
いきなり現れて、運命の番との繋がりを断つために一人息子と番になりたいというのだ。しかも今まで付き合っていた訳でもなく、息子はまだ高校生。いくらなんでも、すぐに納得するのは無理な話だ。だけど、そんな父親を説得するように隣で懸命にお願いするこの子の姿に、僕も必死に言葉を紡ぐ。
そして最後は二人で頭を下げるも、いい答えは貰えない。
ここに来る前この子は言っていた。もし親が承諾してくれなくても僕と番になる、と。その時の決意は固く口には出さなかったが、親子の縁を切る覚悟であることが分かった。
この子にそこまで思わせてしまったことに心が痛む。だけど、もう僕達は決めた。もう離れることなど考えられない。
このままこの子のご両親に了承を得られないままなのか・・・。
そう諦めかけたとき、母親が口を開く。
「もし、そこまでしても運命の繋がりが切れなかったらどうするの?」
それは僕に言ったのか息子に言ったのか・・・。
けれど、そんなの決まっている。
「それでも一緒にいる」
「それでも一緒にいます」
僕とその子の声がハモる。そしてその声に驚いた僕達は、自然と視線を合わせて微笑み会う。
そんな僕達を見たご両親は、ようやく僕達の番を認めてくれた。
それは決して、諸手を挙げての快諾ではない。けれど了承を得られたのは大きい。少なくとも、この子の苦悩を一つでも減らせたのだから。
そこからは急ぎで進められた。
病院側の協力の元、それは病院内の発情部屋で行われることになった。ここは完全にプライベートは守られており、何かあった場合もすぐに対処してもらえる。それに僕達がしようとしていることは前例がない上に、この子はまだ未成年。大事をとって別室に医師が控えてくれることになった。
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