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僕はスッカリ忘れていたけど
彼女は、ずっと覚えていてくれた。
ほんの些細なことだった。
電車の中で彼女の髪が
隣に居たサラリーマンらしき
男の荷物に絡んでしまって
とても困っているようだったから
僕はそっと絡んだ髪を解いて
軽く会釈をして電車を降りた。
あれから彼女は、ずっと僕にお礼が
言いたくて電車に乗る度に
僕を探していたそうだ。
「あの時は、本当にありがとうございました♪」
「あ、いえ…(笑)」
その日から子猫をきっかけに
僕たちは、連絡を頻繁に取り合う
ようになって、いつの間にか
僕たちは、愛し合うようになっていた。
そして、あれから半年が過ぎた。
彼女は、ほぼ毎日
僕の家に来て子猫の世話を
手伝ってくれている。
もうすっかり大きくなって
子猫では無いけれど。
僕たちは、子猫にクロと名前をつけた。
安直だけど、1番しっくり来たんだ。
クロは、どうやらオス猫だった。
動物病院へ行って、色々と
健康診断をしてもらってわかるまで
僕は、ずっとクロをメス猫だと
勘違いしていた。
何故かというと
あまりにもクロが綺麗な
顔立ちをしていたからだ。
幸いクロは、伝染病等も無くて
わりと健康な子猫だったから
ミルクも良く飲んでくれたし
良く寝てスクスクと育ってくれている。
「沙也加が居てくれて助かったよ。
僕一人じゃ、どうなっていたことやら(笑)」
「慎也さんなら、一人でもきっと
何とかクロを助けていたはずよ(笑)
まぁ、クロにはすごく感謝してるけどね♪」
僕は彼女の言葉に大きく頷いて
そしてそっと彼女を抱き寄せていた。
僕はとても幸せだった。
そう、クロはモノクロでつまらない
僕の人生に彼女という幸せな色をくれたんだ。
ありがとうクロ
大好きだよ♥
【END】
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