僕に色をくれた猫

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✦✦✦✦ 僕はスッカリ忘れていたけど 彼女は、ずっと覚えていてくれた。 ほんの些細なことだった。 電車の中で彼女の髪が 隣に居たサラリーマンらしき 男の荷物に絡んでしまって とても困っているようだったから 僕はそっと絡んだ髪を解いて  軽く会釈をして電車を降りた。 あれから彼女は、ずっと僕にお礼が 言いたくて電車に乗る度に 僕を探していたそうだ。 「あの時は、本当にありがとうございました♪」 「あ、いえ…(笑)」 その日から子猫をきっかけに 僕たちは、連絡を頻繁に取り合う ようになって、いつの間にか 僕たちは、愛し合うようになっていた。 そして、あれから半年が過ぎた。 彼女は、ほぼ毎日 僕の家に来て子猫の世話を 手伝ってくれている。 もうすっかり大きくなって 子猫では無いけれど。 僕たちは、子猫にクロと名前をつけた。 安直だけど、1番しっくり来たんだ。 クロは、どうやらオス猫だった。 動物病院へ行って、色々と 健康診断をしてもらってわかるまで 僕は、ずっとクロをメス猫だと 勘違いしていた。 何故かというと あまりにもクロが綺麗な 顔立ちをしていたからだ。 幸いクロは、伝染病等も無くて わりと健康な子猫だったから ミルクも良く飲んでくれたし 良く寝てスクスクと育ってくれている。 「沙也加が居てくれて助かったよ。 僕一人じゃ、どうなっていたことやら(笑)」 「慎也さんなら、一人でもきっと 何とかクロを助けていたはずよ(笑) まぁ、クロにはすごく感謝してるけどね♪」 僕は彼女の言葉に大きく頷いて そしてそっと彼女を抱き寄せていた。 僕はとても幸せだった。 そう、クロはモノクロでつまらない 僕の人生に彼女という幸せな色をくれたんだ。 ありがとうクロ 大好きだよ♥ 【END】
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