わがままを君に捧ぐ

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 それでも中学一年生の頃に描いた絵が、校内の絵画コンテストで優秀賞を貰った時は素直に嬉しかった。母も初めて褒めてくれて、やっと存在を認めてくれた気がした。その夜、父にも褒めて貰い有頂天だった私を見る姉の目の鋭さから、私が間違った反応をしたのだと悟った。  その次の日、姉が友人二人と一緒に万引きをしたと交番に保護された。それを聞いた母が私の腕を振り解いて姉の方へ走って行ってしまった。  母は私より姉の方が大事なんだと、甘えることを諦めたきっかけとなった。  それ以来、母と姉が私に話しかけてきても曖昧に答えることにした。もう、この人たちには本音を言わない。父は私の反抗期がやっときたのかと喜んでいた。馬鹿な父。私は心底家族を馬鹿にすることで自分を守った。
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