わがままを君に捧ぐ

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「ーーお姉ちゃんは今何してるの?」 「私? じゃーん」  姉が私に一眼レフカメラを構える。 「何? そのすごいカメラ」 「何じゃないよ。カメラマン! 結婚式場でカメラマンしてるの!」 「へえ。ひとの幸せとか興味あるんだ」 「ーーまあ。あのねえ、これでもずいぶん改心したんだよっ」  姉は散々万里菜をおもちゃにして、夕方仕事があると言って帰って行った。 「はー。疲れた。あんな人だったかしら」  結婚と出産の事は高野に説得されて両親に電話で伝えた。電話口の両親はとても驚いていたけど、思っていた以上に喜んでくれた。そこにいなかった姉には後から母から伝わったのだろう。  「あのさ、実はお姉さんと事前に会ってたんだ。勝手に悪いと思ったけど、お母さんからお姉さんの連絡先を聞いててね。ずっと、七菜香や家族にしたことを後悔していた。本当はちゃんと謝りたいんじゃないかな」  何となく、翔真の様子からそうじゃないかと思っていたが気づかないふりをしていた。  姉のしたことは許せるとは思えない。心の底にずっと溜まったままの嫌な感情が吹き出しそうで口を閉ざした。 「うん。今すぐじゃなくていいと思う。いつかで」
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