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マグナスは一気に力を解放すると、少ししてから魔力濃度が下がる。その時マグナスは体の不調を感じることが多いため、毎日のチェックとして魔力濃度を測っていた。 それをティナに使ってもらおうと思ったのだ。 「これをさ?手のひらで温めるようにして持ってくれない?」 取り出したのは紫色の掌サイズの玉。 ラスウェルが施行を繰り返して作り上げた魔具だ。 魔力濃度を測る魔具は世の中に溢れている。しかしこれは特別なもので、マグナスくらい莫大な魔力でも測れるようになっている。 他の魔具だとマグナスが触れればエラーを起こして測れない上に壊れてしまうこともあった。 いわば、マグナス専用の魔力濃度測定魔具だ。 「これを持つんですか?」 なんだろと不思議そうな顔でティナはその玉を優しく両手で包み込んだ。 すると手のひらの中で玉は色を変える。 「桃色になりましたよ」 桃色。 それは魔力が少ないことを示す。 死に際の人はうすい桃色になるが、ティナは全く魔力が無いからか、うすい桃色から白へと変わった。 ラスウェルがつくった魔具の精度は本人も信じている。普通の人がこれに触れれば、赤っぽくなる。 ちなみにマグナスは玉が真っ黒になる程濃い魔力を持っている。 「これは一体何なんですか?」 「うーん。魔力測定器みたいなものかな」 「魔力?私は魔力が無いから白になったんですかね?」 「うん。俺が持つと…」 ティナが持って白くなった玉は、ラスウェルの手に渡ると、濃い赤色に変わった。 「魔力が強いと赤に変わる。俺は結構魔力は強い方だから濃い赤になるんだよね」 「ではマグナス様が持てば、これより濃い赤になるんですか?」 またティナが触れると白くなった。 すごい!とティナは目を輝かせた。日頃魔具を触っても何も反応しないため、魔力が無いと言うことにも反応するから喜んでいる。 「マグナスが触ったら真っ黒になるよ」 「赤じゃないんですか?」 「うん。濃すぎて黒くなるみたい。悪の親玉みたいな色だよ」 ラスウェルはそう笑った。 ティナは何のためにこの玉を持たされたか理解していなかった。でもラスウェルは反応しないことに疑問を持っていた。 何かに制御されているなら反応するはずだから。それほどまでに精密に作った自信があるから。 だからやはりティナは魔力が全くないことが分かる。 分かるけど…… 「じゃあさっきの魔力は何なんだよ」 理解ができないことが起こっている。ラスウェルの様子を不安そうな顔で見つめているティナ。 「ラスウェル様?魔力が……どうされました?」 目の前にいるのは何も知らないティナだけ。自分があの瞬間どれほど大きな魔力を身体から発したのかさえ気づいていない。
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