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「ティナ、君は不思議な瞳を持っているからって、普通の女の子だよ?マグナスもそう。あいつもただの男。特別だから一緒にいる訳じゃない」 「でも……」 「きっかけはその特別な何かだったけど、一緒に行動を共にしようとしたのはそれがきっかけじゃないからさ」 だからそんな顔しないで。 ラスウェルは必死にティナを笑顔にさせようと奮闘していた。 どうしてもティナが幼い頃のマグナスとかぶってしまったからだ。 マグナスはどれほど拷問されただろう。 あの塔に監禁されていた時、あの塔で何度も拷問が繰り返された。 ジェネラル王を殺す計画を企てているなど、ありもしない嫌疑を掛けられて。 母を亡くして傷心しきっているマグナスに酷い仕打ちだった。 でもマグナスも今あの頃の話をする時は、何ともない顔をする。 そう言えばそんなこともあったなと笑って話すくらい。 「もっと自分を大事にしろ」 そこに一番そのセリフを言っちゃいけない奴が馬車の扉を開けた。 「マグナス様」 「エントについたぞ。やっとだ。馬鹿みたいに遠かった」 疲れ切った様子。 馬車の扉を開ければ賑わっている声が聞こえた。 とうとう目的地のエントに辿り着いたようだ。 「ラスウェル、この金で宿を取ってきてくれ。俺は馬車を預けてくるから」 「2部屋でいいよな?」 「2部屋?何だお前、魔具の研究でもするのか?」 「……ん?」 「作業部屋が欲しいのかと聞いている」 「いや、ティナと俺らの部屋だよ!!」 「……そうか。気が利かなかった。ティナは女だったな」 じゃあそれだけじゃ足りない。そう言ってマグナスは自分の耳についているアクセサリーを外そうとする。 部屋をふたつとれば倍の金がかかるのはわかっているからティナはマグナスの手を掴んだ。 「1つで大丈夫です。お金の価値をあまりわかっていませんが、旅にはまだまだ必要になると思います。節約しましょう」 「……ラスウェルはパンツで走り回ったりするぞ?いいのか?」 流石に女の子の前ではしないわ!とぷりぷり怒っている。 パンツで…と一瞬めまいを起こしたティナだが、無一文で何も持たないティナからしたら抑えるべきところは抑えなきゃという気持ちが強かった。 「大丈夫です。私のことは気にしないでください」 結局ティナがそう言うからラスウェルは広めの1部屋を借りてきた。 マグナスもラスウェルも言わなかったが、お金の心配はない。各地に家を建てても余るほどのお金を持っている。 マグナスは一国の王子だったから。 でもティナが気にするなら節約しようと2人は目で会話をしていた。
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