わたしの命

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 ひとり暮らしをして少し過ぎた頃。  もうだめだと思った。目の前には書きかけの履歴書、増え続ける借金明細、平日の昼間から部屋の隅に膝を抱える━━━━私。 「…………」  どれくらいそうしていただろう。  思い出したように呟いた。 「……しのう」  涙で濡れた目を袖で拭い、立ち上がる。頭のなかで、自分が紐を手にするように、身体も動いた。  気持ちで思うことは今までもあった。けれど、身体もそれに付いてきたのは、これが初めてだった。  この日が来たのかな。  視界の端に、灰色が入ってきた。  動いている……それが愛してやまない存在だと気づいた。 「…………」  どうして、忘れていたのだろう。  この子が私以外には懐かないことを。  私以外には心を開かない、少し気難しい子だと。それを知りながら迎えたロシアンブルーであると。 「……ごめんね」  再び涙が溢れた。止まらない。  こちらを見つめているものの、寄っては来ないその子は、確かに「生きていなくてはいけない」私を必要とするたったひとつの存在だった。
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