●ミイコのお餅●

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●ミイコのお餅●

"猫カフェCAT愛らんど" お昼の休憩時間のこと。 控え室で、三毛猫のミイコがメス猫たちにあるお裾分けをしていた。ところが皆はことごとくかぶりを振って断るばかりだった。 ちょうど部屋に入ってきたクロハナがその場の空気を読むと、ミイコに声を掛けた。 「ミイコさん、どうしたの?」 「クロハナさん。コレ、良かったらいらない?」 ミイコが両腕で抱えていたのは、二つの袋に分かれた猫用のお餅であった。 「あらまお餅? なんでお店に。しかもこんなにたくさん……」 クロハナは前足を広げると、袋にプリントされた商品名を肉球で撫でた。 「年末に買ったやつなの。旦那が食べるつもりだったんだけど結局余っちゃって……」 ミイコは寂しげに小分けの丸餅を爪先で触った。 「う〜ん。ここの猫たち、けっこうダイエットしてるからね。断るのも無理ないわ。ごめんねミイコさん。悪いんだけどアタシも……」 クロハナが頭を垂れた、その時だった。 ぽっちゃり体型の白猫のコマが部屋に入ってきた。 ミイコと目が合致するやいなや、コマはミイコの『お得用! 猫もっちモチ!』を目掛け力強く歩み寄った。すると――。 「あんたいいもん持ってるじゃない! アタシにもちょうだい! たしか台所にきな粉があったような……」 コマが慌てたように台所へ向かうと、クロハナとミイコは互いに顔を見合わせてクスクスと可笑しそうに笑い合った。 (おわり) ※猫用のお餅はありません。あしからず、ね(=^●^=) 43e08e48-4d67-4840-a57c-6daf7aa77c10
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