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糸
コーヒーを一口飲み、椅子にもたれた格好で、僕は目を閉じた。
暖かい風を感じる。遠くから車の走る音がする。時間がすごくゆっくりと進む。
そして、黒猫のセリフを思い出してみる。
「命は尊い」
黒猫はそう言った。
それは感覚的に分かる。梨乃の存在は僕の中では絶対的なものだし、元妻がいなければ、梨乃はこの世にいなかった。
二人には感謝している。僕の存在意義は、そこにある。
では、自分はどうだろう?
自分の命の尊さを、僕は理解しているのだろうか?
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