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「間違いではないな」
黒猫は目をぱちくりさせると、前足で顔を撫でた。
「ただ、『人間』ってのも名称に過ぎない。
お前たちが勝手に自分たちを『人間』と名付けただけの話。
俺たち猫は自分たちを猫だと理解してない。
猫だからこうあるべきだとか、こうしなければならないとか、そんなことは考えない。
お前たち人間だけだ。自分たちを『人間』と表現するのは。
お前は人間だ。生物学上、それは間違いない。
では、お前の言う『人間』とは何だ?
お前はいったい誰なんだ?」
黒猫の目が鋭くなった。
身体は僕よりもはるかに小さいのに、その存在は巨大だった。
僕は物怖じしながら、考えた。
僕は何だ?
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