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仕事が終わり、再び重い足取りで会社を出ようとしていた。
今日は散々な1日だった。
顔は下ばかり俯き、何度もため息がつく始末。
朝からずっとこの調子だ。
だけど今夜はまっすぐ家には帰らず、再びカフェオレを探しに行こう。
今度こそカフェオレが見つかると信じて………
僅かな希望を胸に秘め、会社を出た瞬間だった。
「きゃああああッ!!」
突然、若い女性の悲鳴が鳴り響いた。
驚いた俺はすぐに悲鳴の方へと目をやった。
そこにはボロボロの服を着込んだホームレスが突っ立っていた。
チューリップハットを被っていたので顔まではよく分からなかったが手には包丁を持っており、そのまま俺に目掛けて突進してきた。
すぐに気付いた俺は、刺そうと伸ばした包丁をかわしてその腕を掴み、そのまま一本背負いを決めた。
ホームレスは地面に倒れ、チューリップハットが自然に取れた。
顔面真っ黒で髭がボーボーに伸びてきっていたが見覚えがある顔だった。
妻を寝取ったアホの元上司だ。
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