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「カフェオレがいなくなったら、あなたは今度こそ立ち直れなくなってしまう。こうなったのも全部私のせい。だから探したのよ。隅から隅まで。見つかるまで家には帰らない決意を残して……」
「それでも連絡ぐらい寄越せよ!心配したんだぞ!」
俺は激昂したが妻は常に冷静を保ちながら理由を話した。
「連絡したらあなたは許してくれますか?事情を聞かないで、私をこの家から追い出す。それが怖かった。だから私は………私は………」
妻は今にも涙が流れようとしていた。
それを必死で堪えていたが声の方は既に枯れていた。
俺は話を聞きながら、妻の姿を改めて観察した。
ボロボロの古着を着込み、髪はボサボサ。
眼には黒いくまがはっきりと浮かび上がっており、寝ずにカフェオレを探していたのを物語っていた。
俺は言葉を失った。
久しぶりに妻の姿を見た。
今の今まで気が付かなかった。
見ようともしなかった。
浮気しても尚、俺に再構築をする妻を妻と思わず、疎ましく思っていた。
しかし今は違う。
妻は俺の為にカフェオレを探し回った。
寝ずに猫が居そうな場所を調べ通し、猫アレルギーなのにも関わらず、カフェオレを探し回った。
そう……全ては俺の為だ。
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