嫌がらせ

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だが一度壊れた信頼は二度と直る事はない。 家の中での会話は挨拶と用事と予定を伝えるだけで、それ以上は何も話すことはなくなった。 妻も自分が言えた義理ではないのか、何も言ってこない。 黙って家の家事をこなし、終われば自室へと引きこもる。 最早、あの女は俺の望み通り住み込みの家政婦と化した。 だが、俺はそれが徐々に疎ましく感じ始めた。 アイツが家にいると息が詰まる。 他人行儀でいつも顔を項垂れ、俺の顔を見ようともしない。 一番の問題は料理だ。 何とか食べる事はできるが、不味くて仕方がない。 以前は美味しかったのに…… 家事をしてくれるのは有り難いが、もう限界だ。 妻にはやはり出ていって欲しい。 俺は密かに二度目の浮気を願った。 ところが妻は浮気発覚以後、買い物以外は外へ出ることなく、いつも家の中で過ごしていた。 本当に改心する気なのか…… それとも俺を出し抜く為の芝居なのか。 何とか出て行かせる方法を模索する中、喫煙所で女子社員達の話を偶然耳にした。 それを聞いた時、良い作戦が浮かんだ。
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