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「いやいや、お恥ずかしながらそうなんです。」
「へー、春の小川さん、すごいですね。」
「メダカさん、そんなことないですって。」
「ちなみに、小川さん、またベタな質問していいですか?」
「なんですかタンポポさん。ははぁん、さては今までの生まれ変わり遍歴でしょ?」
「あっ!そうです……、分かっちゃいました?すいません。」
「いえいえ、良いんですよ。初めてこの世に生をうけたのは、えーとですね。
近くにいないかな?あっあれです。」
「あーつくし。」
「そうそう、私、最初はつくしだったんです。タンポポさんと同じように、地面に根をはやしていました。」
「そうだったんですね。」
「それから色々生まれ変わりましてねー、
でも草やら、花やら、挙句の果てには電柱やら、生まれ変わるもの全てその場所から動けないんです。
それが退屈でねー。
ずっと同じ景色、自由に動けない。
何かそんな世界に悶々としてましてね。
今度生まれかわるときは、
自由にこの世界を闊歩できるようなりたいって祈ってたら……。」
「ふむふむ。祈ってたら……。」
「はい、ついに、今回目が覚め
なんかサラサラするなーと思ったら、川になっていました。」
「あっ、春の小川さん、今一瞬、水面がキラキラ輝きましたけど、何か川になって良い事あったんですか?」
「最高です!川は自由です。海を目指して、
野を越え、山越え、谷越えて、初めて自分で動いて旅してます。
あー生きているなって初めて感じています。
初めての自由。そんな自分に
ドキドキ、ワクワクしています。」
「うーん、そう言われると、自分で動くことができないタンポポの私はちょっと悔しいな。」
「あータンポポさんごめんなさい。あなたを傷つける意味で言ったのではありませんよ。」
「冗談ですよ小川さん。私も少なからず自由に動ける……、泳げるかな?そこにいるメダカさん時代も経験していますから。その喜びはわかります。
にしてもタンポポか……、タンポポね。
私はまだ今の姿に生まれ変わって日が浅いから、春の小川さんのように自信満々で最高ですとは中々言えないなー。」
「……。」
___ポチョン
「おふた方も、いつの日か自分がなりたいものに
生まれ変わる日が来たらいいですね。
ちなみに、メダカさんはどうですか?」
「ぼ、ぼくですか……。ぼくは……。」
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