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1.Blue (語り手:リッキー)
―― 結婚する
誰が?
俺が?
………フェルと?
――俺って幸せになるタイプだったっけ?
あいつらが言ってた言葉……
『フェルがゲイと結婚するって信じられるか?』
『まさか! 一時の気の迷いだろ? すぐに後悔するさ、バカなことしたって』
『でも婚約式まで……』
『リッキーに騙されてんのさ、あいつ男となればすぐに食らいつく。フェルもあいつの毒気に当てられてるんだ。フェルならいい女が選り取り見取りだってのに、えらいヤツに食いつかれたもんだ。あれじゃ子どもだって持てないだろ?』
いつもならそんなの気にしない。目の前で言うヤツはぶっ飛ばすし、フェルの声が俺の肩を叩いてくれる。
「気にするんじゃない、リッキー。言いたいヤツには言わせとけ」
けど……
もし
もし
もし
俺みたいな紛い物じゃなかったら子どもも出来て、ジーナ母さんも喜んで、グランパもグランマもひ孫を抱けるはずだったんだ……
もし が重なる、俺の中で。
俺がいなきゃフェルはバットで殴られなくって、襲われなくって、こんな陰口叩かれなくって……
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