1.Blue (語り手:リッキー)

1/7
前へ
/46ページ
次へ

1.Blue (語り手:リッキー)

   ―― 結婚する  誰が?   俺が?  ………フェルと? ――俺って幸せになるタイプだったっけ?      あいつらが言ってた言葉…… 『フェルがゲイと結婚するって信じられるか?』 『まさか! 一時の気の迷いだろ? すぐに後悔するさ、バカなことしたって』 『でも婚約式まで……』 『リッキーに騙されてんのさ、あいつ男となればすぐに食らいつく。フェルもあいつの毒気に当てられてるんだ。フェルならいい女が選り取り見取りだってのに、えらいヤツに食いつかれたもんだ。あれじゃ子どもだって持てないだろ?』  いつもならそんなの気にしない。目の前で言うヤツはぶっ飛ばすし、フェルの声が俺の肩を叩いてくれる。 「気にするんじゃない、リッキー。言いたいヤツには言わせとけ」 けど……  もし もし もし  俺みたいな(まが)(もん)じゃなかったら子どもも出来て、ジーナ母さんも喜んで、グランパもグランマもひ孫を抱けるはずだったんだ……  もし が重なる、俺の中で。  俺がいなきゃフェルはバットで殴られなくって、襲われなくって、こんな陰口叩かれなくって……  
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加