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彼と出遭ったきっかけはケータイゲーム
まさき:俺はまさき
二十七歳の社会人だよ
鈴宮(すずみや)は?
鈴宮:私は大学生!二十一歳だよー!
そのゲーム内のチャットで会話するうちに
まさき:俺は東京住み
今度遊びにおいでよ
暇つぶしに会う事にした
夕方
私は車を走らせ、駅前に駐車すると私鉄に乗って東京に出た
この私鉄は、線は違うけれど私の地元にも通ってて、緑色の座席が擦り切れて白色に変色している感じや、電車の内装が、地元を通っている私鉄を思い出して少し懐かしくなった
高校時代は毎日乗っていた私鉄だったが、大学生になってからは乗っていない
川越駅から東京方面に、七番目の駅で降りる
私の地元よりはかなり都会な雰囲気の駅
駅の東口を出て、近くにハンバーガー屋があるところで彼に連絡を入れる
ケータイゲームをしている時に、彼の連絡先は教えてもらっていた
「もしもし…」
私が電話口でそう言うのと、目の前で何かを耳元にあてながら、はい、と言った人物の声が私の耳元に聞こえて来た
あ、目の前の彼か…
な…!?
近づいてくるその人物
ボリュームのある灰色のファーが付いた、裾があと少しで地面に着くくらいの、長くて真っ黒いコート
夜なのに、ゲレンデで付けるような遮光サングラス
眉毛は昔の時代に流行ったような、細眉
蹴られたら痛そうな、先端の尖がった靴
な…なんだこいつ…
ヤベーやつじゃん!!
目の前から歩いてきた男は、私の前で立ち止まる
「鈴宮さん?」
はっ…!
私は、つい、その人の見た目のインパクトに呆気にとられ、声をかけられたことに気付くのが少し遅れた
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