love is blind

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その当時 私は学生で実家住みで、彼は東京住みで遠距離だった 私の地元から彼の住む東京までは、片道140㎞ それでも 『今日会える?』 そんな一言で、すっ飛んで行った 彼に逢えるなら140㎞の道のりなんて苦じゃなかったんだ そしてデートをしよう、と毎回一緒に行くのが 彼の友達がやっているというスナック そこで主に、彼が飲んで歌って騒ぐ、私はそんな彼を眺める…と言うのが定番となっていたのだが… 「一万ある?」 お会計は毎回私のお金だった …ちょっと前から思ってたけど、これってデートではないような… 何というか…明らかに彼がキャストで、私が客みたい お会計もカルトンで、彼が持ってくるし… 「もしかして…この店で働いてるの?」 苦笑いを浮かべながら聞く 「働いてはないよ お手伝いしてるだけ」 え、違いは何…? 「こう言うデートなら私もうしたくないんだけど…」 ホストクラブと変わらないじゃん だったらホストクラブの方がいいし… 「なんで!? 鈴宮はお酒飲めて楽しい!俺はバック貰えて楽しい! 一石二鳥でしょ!?」 主にあなたがね 私は冷静に心の中で突っ込んだ それ以降は、そのお店に行くことはなくなったのだが… 「お腹空いたからファミレス行こうか!」 「うん、いいね!」 そうして食事を楽しんだ後、さあ出ようとなった時 「今日は払っといてくれる?」 彼はにっこりして、はい、と私に伝票を渡してくる 普通のデートをしていても お会計はまた私のお金だった …手持ちが少なかったのかな? お金ないって言いにくいもんね… そう思いながら、レジでお金を店員に渡した が… その後も、食事代、ホテル代… 気付けばまた毎回私が払っていた …あれ? この人社会人だよね? しかも自分で会社起こして、経営してるって言ってたよね? 私、アルバイトなんですけど… 学生相手に出してもらって、何とも思わないのかな…? でも そう言えば池袋の時も、麻布十番の時も…彼はツケでとか言って、後日お金を持って来るからと、その場で払ってはいなかったな…と思い出した 今思えば、彼は金がなかったんだろうけど、当時の私は、そこまで彼の経済状況を把握していなかったというか、気にしていなかった 私はそんな彼とのデート費用と言うか、金銭問題で悩んで、学校の友達にも相談して、そして対策として彼にこう持ち掛けた 「ねえ、毎回デートの際私が出してない!? 今度から割り勘にしようか!!」 そう、自分のものは自分で払う 二人で共用するものは、一人頭の値段 お互いの負担は一切ない、フェアで合理的な解決方法だ 「ヤダよビンボーくさい! 金ある方が都度払えばよくね?」 え… あなた払った事ありましたっけ…? 「って言っても毎回私が出してると思うんだけど…」 私はつい、イラっとしてしまって、ジトっとした目を彼に向けた 「はあ!? あっそ じゃあもう帰りましょ」 そう言うと彼は本当に帰って行こうとする え、なんでそうなるの…? ちょっと… 「ちょっと、待ってよ! ごめん!言い過ぎちゃった…! だから帰らないでよ…!」 そう言うと彼は振り返って 「わかればいいんですよ」 と言った そう言われて、ほっと落ち着く私… その後も彼がお金を払う事はなく また揉めて面倒になるのも嫌だし… そんな事で嫌われたくないしなあ… と思って出し続けた その結果 通帳を見て驚愕 案の定、金欠になった 「あのさあ…私学生でバイトもガッツリ入れないし、東京までの交通費もバカにならないから、たまには払ってほしいんだよね…」 そう彼に持ち掛けた それはそう、だって本当の事 「え?何で? 鈴宮が俺に逢いたいならお金出すの当たり前でしょ?」 あ… そっか… 私が逢いたいんじゃ、仕方ないのか… ってなるかーい! それただのヒモじゃねーか!ホストか!色恋か!だったらホストに貢ぐわ!
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