love is blind

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それから数週間後、私は久しぶりに実家に帰った 「あんた宛に手紙来てるけど…」 母がそう言いながら私に封筒を手渡した …え?何だろう… 私はその封を開けて、中身を見た 「な… 何だこれ…!!」 その紙には、御請求書と書かれていた 「に… に…二十三万…円…也ぃ…!?」 もう一枚の紙には、購入した商品履歴が記載されていた シャツ シャツ カバン 靴… それは私が買った覚えのない商品ばかり 商品名が細かく書かれてあり、男物とわかる ちょっとちょっと…これ… どー言う事よ! もう思い当たる節は一つしかない 「クレカ預けたけど、使っていいなんて言ってないけど!! ちゃんと払ってね!?」 私は彼に、届いた請求書の紙を見せた 「わかった そう言えば言い忘れてたけど、ちゃんと住所変更した?」 「え?住所変更?何それ…」 「実家から出たら住所変更しなきゃダメだよ!社会の常識!」 「そうなんだ…知らなかった…」 「取り敢えず郵便局に行って、転送届出してきな」 「転送届?」 「そう、鈴宮宛に来る手紙などを新しい住所に転送してくれるんだよ」 「へー、そうなんだ!便利だね! じゃあポストの暗証番号教えて!」 「暗証番号は契約者以外教えちゃいけない決まりになってるんだよ」 えっ…そうなんだ… 「一緒に住んでいるけど、契約者の名義は俺だから… 鈴宮宛に届く手紙は、俺が直接渡すよ」 「そう…わかった…」 私は彼のそんな言葉を、普通に信じていた 今思えば、なんでポストの暗証何号を教えてくれなかったか、理由がわかる 自分宛の手紙を見られたくないというのもあるかもしれないが、それ以前に、私宛に届く手紙を見せたくなかったからだ それから私は、郵便局や区役所に行ったりと…手続きに追われた はあ… 気軽に同棲したものの…色々大変だなあ… それに… 炊飯器一万 単身用の冷蔵庫三万 電子レンジ二万 乾燥機付き洗濯機九万 ソファ一万 テーブル一万… 一番高かったのがテレビで二十四万… 『このテレビにしよう!ブルーレイ録画付き!』 (そんな高いの買う必要あるのかな… そもそも私のお金で買うんだよね…?) そんなある日の情景を思い出す 同棲ってお金もかかるんだなあ… 社会に出る大変さを痛感した、二十一歳大学生なのであった その後、実家に請求書も来なくなり、クレカは自分で管理するようにし、平穏な日々を過ごしていた そんなある日 知らない番号から電話がかかってきた 「もしもし…」 「お兄様からのご入金の確認が取れていないのですが…」 えっ? 「え…? お…兄様…?何の事です…?」 私に兄の兄弟はいない 「はい? お兄様がいらっしゃるんですよね? お兄様からあなた様が入院されていると聞いて、今度からお兄様の方へ連絡して欲しいと伺ったのですが…」 「『お兄様の携帯が繋がらなくて、妹様の携帯にかけてご確認をしました』って言われたんだけど、どう言う事!? まだお金払ってないって事? 私のクレカとはいえ、あなたが使ったお金でしょ!?」 私は出先から自宅に帰った後、すぐさま彼に問いただした 「だから俺の携帯に連絡くるようにしたんじゃん 設定上の妹が入院して払えないから、設定上の兄の俺が代わりに払う、だから連絡は俺にくれって事だよ」 なるほど…そういう事か… 「まあちゃんと払ってくれるなら何でも良いよ!」 それを聞いてほっと胸を撫で下ろした すると彼はそっと私の肩に手を置く 「今度から、自分の携帯に知らない番号から掛かってきても、無視する事… わかった?」 「うん…わかった…」 「よし!」 えらいえらい、とぎゅっと抱きしめられた 彼の温もりを感じると さっきまでの不安な気持ちが落ち着く 大丈夫… 彼は歳上だし、社会人だし 彼の言う通りに言う事を聞いていれば 全て上手くいく… この頃の私は、そう思っていたんだ
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