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そこには、息も絶え絶えのイノシシが横たわっている。急に全身に寒気がしたーーー 武者震いだろうか。背筋が凍り、体が震えてくる。俺は今からこいつを殺すんだ。そう思うと体が自然にじっとしていられなかった。その時ふと、父ちゃんたちの間から必死に逃げていた猫が頭に浮かんだ。そうだ。普段ぼーっとしてそうな猫でさえ動かなければいけないときは動けたんだ。僕だってできるはずだ。 catもactに変わる瞬間がある。僕にとっては、今がそのとき。 呼吸の速度が上がってきた。今なら断言できる。この震えは武者震いだ。僕ならこんな死にかけのイノシシなんて殺れるーーー
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