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指差す方向にはクレープ屋があった。
「クレープ屋がどうしたんだ?」
「感動してきたな!」
「あのクレープ屋のクレープは感動するほどおいしいの?」
佳子は首を横に振る。
「あのお店のクレープを食べたことはないよ」
「じゃあ、何が感動するの?」
「小学生の頃はクレープが高くて、お小遣いではなかなか買えなかった」
「確かに小学生には高いかもね」
「でも中学生になると、お小遣いが増えて買えるようになる。そこに時間の流れと成長を感じて感動したんだ!」
「さっきの国税局よりは共感するよ」
しばらくすると、また佳子が声を上げた。
「おっ、やってるな」
指差す方向には鉄工所があった。
僕は少し呆れて声を出した。
「また興奮してきたとか、感動してきたとか言うのかな?」
「いや、鉄工所のおじさんって渋くてかっこいいよね」
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