17人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は急な展開に笑みが溢れた。
「ここにきて普通の女子トークだね。普通の答えになるとは思わなかったよ」
佳子といろんな話をして、笑ったり驚いたりしながら、温泉旅館までの道中を楽しんだ。
旅館につくと、二人ともすぐに温泉に入った。
男湯はゆったりとした大浴場で、客が一人もいなくて、貸し切りみたいだった。
温泉から上がって、佳子に聞くと女湯の方も貸し切りだったと言われた。
お風呂に入った後は待望の懐石料理だと思いながら頬を緩ませた。
部屋に戻って、懐石料理を前にすると、佳子が声を出した。
「涙が出てくるな」
「大袈裟だよ。おいしそうな料理だけど」
「そうじゃなくて、料理人がこの懐石料理を作るまでどれほど頑張ったのかと思うと、そこまでの長い道程を思うと励ましたくなるんだ」
「まるで身内の気持ちだね。その気持ちがわからないではないけど……そう言われると食べづらいな」
佳子は僕のことを全く気にすることなく、料理を次々に食べていった。
僕はいつも面白い佳子とこのまま仲良しでいられたらいいなと思いながら、温泉旅行を楽しむことにした。
最初のコメントを投稿しよう!