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2人は仲は良かったが昔から喧嘩は絶えなかった。喧嘩をしてほったらかしだった幽霊がさらに大きくなっていた。2人だった人間からさらに1人、また1人と首が生えてきた。今度は老人。性別は不明だ。
「これはまさか噂の恐怖のコンビニエンスストア!」
虹雨はスマホを撮影しつつも、思い出したのだ。
「噂の?! 知らん、そんなの」
「恐怖系動画チューバー内界で話題になってた深夜にしか開かないコンビニエンスストアで、もともと酒屋だったが他の有名コンビニに客取られて、頑張ってここもコンビニみたいにしようとしたが失敗して多額の借金を抱えた元酒屋一家が一家心中して、その跡地がここなんや!」
「てかなんでタイミングよく俺らが出くわしたんだよ!」
「知らん! 俺ら2人出会っちまったから出くわしちまったんだよ!」
「最悪だー!!!」
「最高の間違いやろ!! 撮れ高最高や!!!」
虹雨は興奮のあまり訳のわからない状態になっている。由貴は相変わらず泣きべそをかく。そんな2人はギャーギャー叫んでる間にもさらに体から猫と犬も出てきた。
「ペットもかーーーー!」
全部おそろしい形相をしている。
「でもあの時のことを考えれば……」
由貴がぽつりと言った。
「……あの時のせいだ、こうなったのも!!!」
近くにあった物を投げるがどうにもならない。
その時だった。
ぴかーーーーー!!!!
と何かが光ったのだ。2人の前で。
「あんたら話が長い、うるさい! こんなところで喧嘩するな!」
さっき由貴の横にいた女の子であった。季節外れのジャックオーランタンを持って2人の前に現れた。
「なんでここにいる!」
「……今はそんな場合じゃない! 私がこの幽霊たちを連れて行く! あんたらは伏せてて!」
女の子は幽霊を抱きついた。ハロウィンの猫の仮装をしているが、ミニスカートでチラッと下着が見えた。
「おお、ラッキー」
虹雨がスマホで撮影する。ドアを押していた由貴はそんな彼を叩く。
「アホなことするな! この子はあのビルで暴行されて殺されてまだ見つかってないんや! ハロウィンの格好だから四ヶ月前!」
「で、その幽霊がなんでここにいる?!」
すると彼女は苦しい表情をしつつも恥ずかしそうに顔を赤らめて言った。
「……タイプだったの」
「えっ?!」
由貴は驚く。
「違うやろ、俺がタイプだったんやろ?」
虹雨が言うと女の子は首を横に振る。
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