届かなかった手の向こう

1/5
前へ
/5ページ
次へ

届かなかった手の向こう

『ぼくはちょうのうりょくしゃ、らしいです。  おうちのパソコンを、かってにつかって、メールをおくってます』  そんな不思議なメールが私の元に届いたのは、五月の暖かくなってきた時期のことだった。 『おねえさんは、いじめられているひとを、助けてくれるひとだと聞きました。  おねがいします。  たすけてください』  それは明確な。  どこに住んでいるのかもわからない誰かからの、救援要請であったのである。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加