後悔先に立たず(旦那視点)

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後悔先に立たず(旦那視点)

最近、妻との関係が少しずつ変化をしてきた。 なかなか成果の上がらない不妊治療。 仕事のストレス。 俺は鬱々とした日々を送っていた。 そんな時に取引先の担当の女の子と飲み会に行き、身体の関係を持ってしまった。 背徳感は蜜の味で、獣の様に彼女を抱いた。 彼女との時間は、仕事のストレスや妻の事を忘れられた。溺れているわけではない。 しかし会うと言葉も交わさず、キスもせずゴムを付けてすぐに行為に及んだ。 割り切った大人の関係だった。 彼女との行為を終えて、夜遅くに帰ると妻は既に寝室で寝ていた。 妻が先に寝てしまうと小太郎は、必ず妻の足元で丸くなって寝ている。 寝ている小太郎を撫でようとすると、小太郎が目を開けてシャーっと怒ってきた。普段は自分に甘える小太郎が、まるで違う人間を見るかの様な態度に驚いた。 きっと、小太郎は気づいたのだ。 大好きな妻とは違う女の匂いで帰宅した俺に、どこの女の匂いだと。 その夜はダブルベッドの枕元までやってきて、妻と俺の間に小太郎が丸くなってきた。 近づくんじゃねぇって、言われているようだった。
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