21人が本棚に入れています
本棚に追加
妻に離婚を告げるとあっさり同意した。
俺の浮気に気付いていて、知らないフリをしていたのだ。
足元に小太郎がやってきて久しぶりに甘えてきた。
俺達の静かな戦いに、お前が謝れと小太郎に言われている様だった。
小太郎は妻に引き取ってもらう事にしてもらうと、妻は怒りと寂しさを隠しているように見えた。
憎んで欲しくて憎まれ口を叩いた。
「お前も小太郎みたいに可愛げがあれば…。」
「そうすれば変わった?」
「あぁ、変わったよ。」
「絶対、嘘。
あなたは自分の子供が欲しかったのよ。
だから、絶対に変わらなかった。」
俺は君との子供が欲しかった。
子供が出来なくても、一緒に年取っていきたかった。
何より君を愛していた。
失って気付いた自分が情けなくて、思わず目をそらした。
妻が引越しをするまでの間、俺はビジネスホテルに寝泊まりをした。妻には彼女の家に行くと嘘をついた。
それに妻は恐らく俺を見るのも嫌だろう。
妻は離婚に向けすぐに動き出したようだ。
一抹の寂しさを感じるが、これも身から出た錆。
あんな女と出会わなければ、こんな事にはならなかったと思うようになった。
彼女と会いたくなくて、携帯電話にメッセージを入れた。
『妻に君の妊娠を知らせた。
離婚する事になりそうだ』
彼女からの返信は無かった。
最初のコメントを投稿しよう!