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離婚
「ごめん。
好きな人が妊娠したんだ。慰謝料を払うから離婚してくれないか。」
主人は言いづらそうにしながらも、私の目を真っ直ぐ見て告げてきた。
私は不妊治療を何年も続けているが、子宝に恵まれず心が折れかけていた。
そんな時、主人の浮気を知った。
主人の帰りが遅くなり、家の中でも携帯電話を手放さなくなった。私は気づいていても、主人に問い詰める事はしなかった。
不妊の妻に用はないと言われたくなくて。
なのに…。
私は主人の目を見て言った。
「わかったわ。ただし、相手の女からも慰謝料はもらう。」
「妊婦なんだぞ⁉︎」
「だから何?
妊娠したから慰謝料免除なんて、都合が良すぎるわ。」
主人は私を睨んで、立ち尽くしていた。
私は財産の事、離婚後の住まい。
そんな事を考えている。
私にはもう、主人に対する愛が無くなっていたのかもしれない。
リビングで2人の静かなバトルをしていると、主人の足元に黒猫の小太郎がゴロゴロと喉を鳴らしながら甘えてきた。
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