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「……これから死ぬやつに名前を教えるバカがどこにいる」
「ふぅーん、お兄さんは、シリンがお兄さんより弱いって思ってるんだ!」
シリンの笑みが深くなる。それと同時に、シリンの髪の毛が逆立ちはじめた。
髪の毛や体の周りで、バチバチと放電している。だが、シリンは痛がる様子は一切ない。
それと同時に、目が強く光りだす。
「これをみても、まだ同じことが言えるの?」
「……電気なら、触れなければ良いだけだ」
男は空いている腕を大きく広げる。
途端、黒いもやが突風のように勢いよく広がった。
「闇の力か。なるほど、あの黒い看板はこいつの仕業だったんだね」
「あー、アスト様? これ、ちょっとヤバいんじゃ……」
シリンが頬をひきつらせる。その髪の先が黒く変色し始めていた。
アストはそんなシリンをみて、仕方なさそうに肩をすくめた。
「まったく。できれば使いたくなかったんだけどな」
アストはローブから腕を出し、黒い手袋をした手で男を指差す。
「誓約。汝、破ることなかれ。宝石の力を刻限までに使用することなかれ。汝の御魂を持ってして……」
「長いよアスト様! いつもそんなの言わないじゃん」
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