はじまりの出会い

11/13
前へ
/51ページ
次へ
「……これから死ぬやつに名前を教えるバカがどこにいる」 「ふぅーん、お兄さんは、シリンがお兄さんより弱いって思ってるんだ!」  シリンの笑みが深くなる。それと同時に、シリンの髪の毛が逆立ちはじめた。  髪の毛や体の周りで、バチバチと放電している。だが、シリンは痛がる様子は一切ない。  それと同時に、目が強く光りだす。 「これをみても、まだ同じことが言えるの?」 「……電気なら、触れなければ良いだけだ」  男は空いている腕を大きく広げる。  途端、黒いもやが突風のように勢いよく広がった。   「闇の力か。なるほど、あの黒い看板はこいつの仕業だったんだね」 「あー、アスト様? これ、ちょっとヤバいんじゃ……」  シリンが頬をひきつらせる。その髪の先が黒く変色し始めていた。  アストはそんなシリンをみて、仕方なさそうに肩をすくめた。   「まったく。できれば使いたくなかったんだけどな」  アストはローブから腕を出し、黒い手袋をした手で男を指差す。 「誓約。汝、破ることなかれ。宝石の力を刻限までに使用することなかれ。汝の御魂を持ってして……」 「長いよアスト様! いつもそんなの言わないじゃん」
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加