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例えば。
大事な人を失ったら、何を思うのだろう。
その記憶がないのは、幸せなのだろうか。
もういない。その実感が湧かないのに、突然ひとりぼっちなのだ。
明日から、生きていけるのか。
どうして、親が殺されたのか。
どうして、あたしの親なのか。
いくつもの問いが、胸を冷たい気持ちで浸してくる。
「……よし!」
そんな気持ちを発散させるために、声を出した。
あたし———ルビーは明るくいないといけない。
みんなを助ける人が、暗い顔なんてしてはいけないから。
日は登ったばかり。
机の上に置いたマントを羽織り、顔を上げる。
「朝日に向かって! レッツゴー!!」
無人となる町外れの一軒家。
その扉を開け放し、ルビーは勢いよく飛び出した。
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