はじまりの出会い

2/13
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
 例えば。  大事な人を失ったら、何を思うのだろう。  その記憶がないのは、幸せなのだろうか。  もういない。その実感が湧かないのに、突然ひとりぼっちなのだ。  明日から、生きていけるのか。  どうして、親が殺されたのか。  どうして、あたしの親なのか。  いくつもの問いが、胸を冷たい気持ちで浸してくる。   「……よし!」  そんな気持ちを発散させるために、声を出した。  あたし———ルビーは明るくいないといけない。  みんなを助ける人が、暗い顔なんてしてはいけないから。  日は登ったばかり。  机の上に置いたマントを羽織り、顔を上げる。   「朝日に向かって! レッツゴー!!」  無人となる町外れの一軒家。  その扉を開け放し、ルビーは勢いよく飛び出した。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!