11人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
「さっきの赤い髪の毛のお姉ちゃんね、面白いんだよ!!」
他愛のない、家族の会話。
母親は、子供の口から紡がれる滑稽な出来事にクスクスと笑った。
「あ、あとすごかったんだ!!」
家族の横を、ローブを被った人間が静かに歩く。
「目が、ピカって光ったんだ!」
男の子が、手を大きく広げた。
その手がローブの人間に当たる。
「あっ、ごめんなさい……」
男の子は慌てたように手を引っ込めた。
ローブの人間は、首をかしげるような仕草をする。
「……ハハッ」
男の子が顔を青くしはじめたと同時に、フードの中から低い笑い声がした。
「気にしなくて良いよ。自分、頑丈だから。ところで……」
ローブの人間は両手を上げてそのフードを取る。
無造作に首まで伸ばされた紫の髪と、左側の一部だけ胸元まで伸びた横髪が、突然吹きつけた風に舞う。
「さっきの面白いお姉さんのこと、教えてくれないか?」
最初のコメントを投稿しよう!