はじまりの出会い

5/13
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
「さっきの赤い髪の毛のお姉ちゃんね、面白いんだよ!!」  他愛のない、家族の会話。  母親は、子供の口から紡がれる滑稽な出来事にクスクスと笑った。 「あ、あとすごかったんだ!!」  家族の横を、ローブを被った人間が静かに歩く。 「目が、ピカって光ったんだ!」  男の子が、手を大きく広げた。  その手がローブの人間に当たる。 「あっ、ごめんなさい……」  男の子は慌てたように手を引っ込めた。  ローブの人間は、首をかしげるような仕草をする。   「……ハハッ」  男の子が顔を青くしはじめたと同時に、フードの中から低い笑い声がした。 「気にしなくて良いよ。自分、頑丈だから。ところで……」  ローブの人間は両手を上げてそのフードを取る。  無造作に首まで伸ばされた紫の髪と、左側の一部だけ胸元まで伸びた横髪が、突然吹きつけた風に舞う。 「さっきの面白いお姉さんのこと、教えてくれないか?」
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!