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ルビーは男の子たちと別れてから、街の中心に向かっていた。
なにか具体的な目的があったわけではない。
ただ、人が多いところに行こう、と思ったのだ。
数分歩くと、一際広い広場に着く。
ルビーは違和感に眉をひそめた。
赤いものが、石畳の上で飛び散っていた。
掲示板だったと思われるものは真っ黒に染まっている。
さらにその掲示板は、まるで殴られたような穴が空いているのだ。
ルビーがもっと情報を集めようと、広場に足を踏み入れようとした刹那、男の断末魔が響き渡った。
「逃げるんじゃねぇよ、てめぇ!!!」
そして、もう一つの男の声。
ルビーは、その声が聞こえた狭い道に飛び込んだ。
飛び込んだ道は、目も当てられない惨状だった。
壁が真っ黒に染まり、そこに鮮やかな赤が散らされている。
ルビーは後ずさった。
積み上がった黒い塊たちの上に、男が一人立っている。
その人は、掴んでいるものを乱暴に投げ捨てた。
目が、合う。
「あ、あんた!! なにしてんの⁉︎」
とっさに声を出したが喉が締まり、声が裏返ってしまう。
男はそんなルビーを見て目を細めた。
「なんだ? お前もこいつらの仲間か」
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